皆さんは、全国7000か所以上ある認知症カフェを利用したことはありますか?
わたしは介護者の立場で、介護仲間となんとなく話したいという目的で、たまに利用しています。介護初期は悩みを語り合う場として利用していましたが、今は介護仲間とゆるくつながるために利用しています。
そんな認知症カフェを利用する前に、読んで欲しい本があります。それが、6月25日に発売になったばかりの新刊『全国認知症カフェガイドブック 認知症のイメージを変えるソーシャル・イノベーション』(クリエイツかもがわ)です。
そもそも認知症カフェってなに?という人が多い
著者のコスガ聡一さんは、全国200か所以上の認知症カフェに足を運んでいる方です。そんなコスガさんは、認知症カフェ探しについて、エピローグでこのように述べています。
当時の私には医療・介護・福祉分野の知り合いがなく、カフェを探すのにネット検索しか方法がありませんでした。そうして見つけたカフェは横浜市内でわずか2か所。人口370万人の大都市にしてはあまりに少ない数でした。
引用元:全国認知症カフェガイドブック(クリエイツかもがわ)
わたしも認知症介護の講演会で、認知症カフェを紹介することもあるのですが、参加者の反応は「初めて聞いた」「そのカフェは、どこにあるの?(喫茶店と勘違いしている)」という感じで、講演会で配布されたチラシを見て、自分の住む地域に認知症カフェがあることに気づきます。
しかも、認知症カフェが何なのか?チラシだけでは、よく分かりません。認知症介護の相談ができるとか、介護職・医師がいらっしゃるとか、認知症ご本人も参加できる、認知症の勉強会があるなど案内が書いてありますが、カフェによって運営方針が全く違うので、とりあえず行ってみるしかありません。
一方で、認知症カフェの運営者側は、認知症に対して熱心に取り組み、頑張って発信しているのですが、あまり上手とは言えません。それこそ公共色・介護色の強いデザインのチラシを地域に発信し、気軽に行くべきカフェなはずなのに、初参加の人が躊躇してしまう演出になっているところもあります。
『全国認知症カフェガイドブック』はカフェの写真が多く、カラーでデザイン性に優れているので、認知症カフェに行ってみようかな?利用してみようかな?そんな気持ちにさせてくれます。全国の「とんがった」認知症カフェが、27か所も紹介されています。
本を使って認知症カフェを紹介することで、普通の市民の皆さんにアプローチできるメリットがあります。ネットだけ、クローズドな場だけでは、どうしても広がっていかないところにまで、本はアプローチできます。
認知症の家族を介護している読者が圧倒的に多いこのブログですが、認知症カフェを運営している方もいらっしゃいます。そういった方こそ、この本は読むべきだと思います。
認知症カフェを運営している人へ
本のタイトルにもある「ソーシャル・イノベーション」という言葉。耳慣れない方も多いと思いますが、今ある社会課題を発生させない仕組みを作り、それに向けたアクション・アイディアで社会を革新することです。
カフェ運営者の中には、認知症を社会課題と捉え、正しい知識を持たず、偏見を持っている方々、一般市民に向けて情報発信して、認知症の人にとって当たり前の社会を作ろうと動いてる熱意のある方がいます。
コスガさんがたどり着いた認知症カフェのカテゴライズの概念は、3つの源流から拡散や特化を繰り返し、最終的に日本には7類型あると、この本で述べています。
認知症カフェの第一人者である武地一医師とコスガさんの対談ページが多く収録してあるので、自分の運営する認知症カフェがどの類型に属するのか、また認知症カフェの源流など改めて勉強して、今後のカフェ運営に役立てて欲しいです。
川崎市宮前区の講演でご一緒させて頂いた「土橋カフェ」も紹介されていました。メディアでもよく紹介される認知症カフェですが、驚くべきは集客力です。いつも100人を超えるそうで、主宰者の老門さんに聞いてみたところ「町内会の色が強く、その先に認知症カフェもある」とおっしゃっていたのが、印象的でした。
著者が運営している『全国認知症カフェガイド on the WEB』
コスガさんが運営しているブログ『全国認知症カフェガイド on the WEB』はこちらです。まずはお近くに認知症カフェがあるかどうか、チェックしてみてください。
また、ご紹介した本はこちらになります。
今日もしれっと、しれっと。
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