コロナの影響が認知症の母の体の意外な場所に現れたはなし

驚き

新型コロナウイルスの影響で、3か月ほど遠距離介護を中断しました。わたしが1番懸念していたのは、認知症の進行よりも、母の活動量が減少すること。

2015年3月に、母の活動量が減少した結果、立ち上がりが困難になったり、お薬を飲まなかったり、食欲がなくなったり、尿失禁が増えたりと、いろいろな影響が出ました。そのときの記事が、こちらです。

岩手に居る妹からも「お母さん、一緒に歩くとすぐ疲れたっていう」と報告がありましたし、ひとりで居る時間が長かったせいか、家の中での活動量が激減してしまったようです。

活動量の減少は、足の裏に現れた!

岩手に帰省して医療・介護職の方と話す中で、活動量が減ったものの、大きな影響はないことが分かりました。しかし、この部分だけは正直でした。(汚いのでサイズを小さめに)

母の足の裏(左がフットケア施術前、右が施術後)

母はシャルコー・マリー・トゥース病という難病を持っていて、足がアーチ状(写真のとおり、土踏まずが極端に深い)に変形しています。そのため、地面と足裏の接点が少なく、力が接点に集まるため、決まったところにタコができるのです。

そのタコを数か月に1回、盛岡のフットケア『ときいろ・ねいる』さんにお願いして、メンテナンスをしています。前はイボコロリを使って、タコを取ろうとしていたのですが、よくないようです。

活動量が多ければ多いほど、足裏のタコは厚く、硬くなります。その写真をアップしてもいいのですが、あまりに汚いので、施術前と施術後の写真にしました。右のようにフットケアでキレイに研磨してもらっても、数か月後には左の状態(実際はもっとひどい)に戻ってしまいます。

母は認知症ですし、こういうタコの小さな痛みが積み重なって、歩かなくなったり、自然と歩くのを避けようとしたりする可能性があります。だから、タコのメンテナンスは欠かせないのです。

まさか母の足裏が、コロナ禍の生活環境を物語っているとは、正直驚きでした。デイサービスで歩く距離も、街の変化によって減ってしまいました。このままではまずいので、わたしが何とかすることにしました。

スパルタ? 歩行訓練実施中!

母の活動量が減り、本人も気づかないうちに、認知症の症状が悪化したり、生活のリズムに変化が出る経験をしたりしました。また、亡くなった認知症の祖母が病院のベッドから転落して、大腿骨骨折をしてからの死へのスピードは一気に加速しました。人は動いていないとダメ!ということを、祖母や母から強く学びました。

そのため、母が「忘れること」を利用して、歩数を稼ぎまくってます。朝食を食べようとすると、箸を忘れ、しょうゆを忘れます。母に台所まで歩いてもらって、取ってきてもらいます。

母のパンツの消費量はハンパなくて、なぜか1日5枚もチェンジすることもあります。わたしが頻繁にパンツやタオルを洗濯し、それを何度も何度も母に畳んでもらい、棚に戻してもらいます。

縁側のカーテンが閉まってないよ!ふとん敷いたら!果物食べたいな! 事あるごとに用事を作っては、母をとにかく動かします。あくまで「自然に」歩数を稼ぐことで、母は嫌がりません。

変な願いですが、タコよ!程よく厚くなれ! 大きくなってくれ!

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか