認知症の母にどうやって麻婆丼を食べてもらうかの悩み

わたしが帰京する日の母の夕食は、丸美屋の麻婆丼と決まっています。

麻婆豆腐の素と水をフライパンに入れて豆腐を切り、少し煮込んで片栗粉を入れれば完成するので、料理下手なわたしでも簡単です。

特に帰京する日の朝は忙しくて、母をデイサービスに送り出したり、洗濯と掃除をしたりと、本当に時間がありません。戸締りや火事の心配もありますし、食材が不足してたら買い物にも行きます。

ヘルパーさんには、だいたいこういうものを買っておくといいよリストは渡してあるのですが、どうしても家族にしか買えない、気づけないものがあるので帰京直前の買い物もよくあります。

デイサービスから帰ってきた母がわたしの麻婆丼を夕食で食べるわけですが、これが思うようにいかなくなってきたのです。

認知症の進行と麻婆丼

前は冷蔵庫のホワイトボードに「麻婆丼作ってあるから食べて」と書けば、母が電子レンジで温めて食べてくれました。

しかし認知症が進行した今は、麻婆丼の意味が分からない、ひらがなで書いても意味が伝わりません。さらに電子レンジをうまく使えません。使える日もありますが、基本は使えないと考えたほうがいいです。

なのでご飯を炊飯器の中で保温状態にしておき、麻婆豆腐はあえてフライパンの中に入れたままにして、ガスで温められるようにして、下記写真のような置き手紙をしておきます。

置き手紙とフライパン

麻婆豆腐が分からないので、フライパンの中のとうふと表現してます。1年くらいはこの方法でうまくいってたのですが、最近はこの方法すらうまくいきません。

見守りカメラで母の様子を見ていたところ、わたしが用意した漆塗りっぽい器に麻婆豆腐だけを入れ、それを電子レンジに。その後、電子レンジに入れたことをすっかり忘れて放置したまま、翌朝のために買っておいたパンをバクバクと食べ始めました。

置き手紙を読み、分かったつもりになってすぐ捨てるのですが、記憶に留まってないので捨てた瞬間から自分の思うがままに行動してしまいます。

翌日の訪問リハビリで麻婆豆腐の入った器がなぜか電子レンジにはなく、冷蔵庫から手つかずの状態で見つかりました。せっかく作っても、思うように食べてもらえません。

今後は麻婆丼は止めて、温める必要のない食事を用意しようかなと思ってます。でも真冬なので、食材がめちゃめちゃ冷たくなるんですよね。そうすると食べてもらえないし、何かいいメニューがないか考えます。

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今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか