「とにかく褒める」 認知症の人に与える影響って、どんな?

認知症 褒める

認知症の母(71歳)は、特定の料理は上手です。

人参の皮をむかなかったり、もやし炒めに味付けを忘れる母ですが、今でも絶品なのがラーメンです。都内ラーメン食べ歩きが趣味のわたしでも、母のシンプル過ぎる中華そばに悶絶します。

冗談抜きで、家の車庫を改築して小さなラーメン屋を作り、中華そばをそこで作ったら、認知症も改善されるのに・・と考えた事もあります。それぐらいに思っているので、ラーメンに対してはものすごく褒めます。

出汁を肉、にんじん、玉ねぎ、にぼしでとって、ラーメンスープを作ってます

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わたし: 「うまいよ~、これ店出せるんじゃない?」 「東京で食べ歩いているけど、このシンプルさがいい!」

シンプルな中華そば。高校時代の量で提供されるので、大盛がデフォルト(笑)
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「あらそ~ぉ~」 まんざらでもない笑みを浮かべる母。

こんなやりとりをして東京へ帰り、実家へ戻って冷蔵庫を開けると、中華そばが6玉も!(ちなみに独居です)

10秒前の事は忘れても、2週間前にラーメン褒められた!って事は覚えているんですよね。だから何度もラーメンを買ってくるんです。これを利用しない手はないです。

次に褒めてみたこと

最近、生活不活発気味で、掃除する機会がめっきり減りました。最初は正攻法で掃除もしたら~と言ってたのですが、ラーメンの例を思い出して、無意味に褒めることにしました。

わたし:「やっぱりきれいだと、スッキリしていいわ~」 「築50年近いのに、ピッカピカだね」

すると次の日の朝、久しぶりに掃除機の音がしました。ラーメンほど中毒性がないのですが、それでも何回か掃除を自らやっています。

「褒めること」 が最高のお薬

認知症に対するリハビリテーションの基本は、「褒める」ことです。ですから、難しい課題を与えてはいけません。達成可能にして成功体験を繰り返し、目一杯褒めて、モチベーション・生きがいを高めていくことが大切なのです。
引用元:http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/hyottoshite128.pdf

朝日新聞の医療サイトで連載されている笠間睦医師のコトバです、まさにこれと同じ!

わたしもブログでうれしいコメントを頂いたり、電子書籍レビューで褒められたことはいつまでも覚えてます。みなさんも仕事で褒められたら、忘れませんよね?認知症とか関係なく、そういうのって誰でも記憶に思いっきり定着します。

ひとつ難点は東京に帰ってしまうと、効力がなくなってしまうことです。忘れるのでやっぱり褒め続けなきゃいけないんですが、いつか分からないけど、なんか忘れたけど 「ラーメンにはいい思い出がある」 とインプットされてるから、他の物を買わずにラーメンばかり買ってくるんですよね。

ちなみにわたし自身は褒められると伸びるタイプです、きっと母に似たんでしょう。レミニールやメマリーより効果あるかも、褒めること(笑)

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

6件のコメント

 ほめること・・・最近してないですね。どちらかというと「これできるかな?」と難しいことやらせて自信なくさせているような・・・。
反省。ちょっと課題?のレベルを落としてみます。2つ買い物してくる のは可愛そうだから1つにしますかね。

あまりにできることをやらせてほめると馬鹿にしてるように思われそうなんですけどねえ。

syumitektさま

>あまりにできることをやらせてほめると馬鹿にしてるように思われそうなんですけどねえ。

これ同感です!でも、これくらいが我が家の場合はちょうどいいんですよね。自分でも何言ってるだろ?って思いますが、反応がいいのでこれでいいんだって納得させています。

70代前半の母に実践してみました。
結果的にポジティブ回答と合わせ技になりました。

うちの母は調子が良い日と悪い日が交互に来ます。調子が悪い日は体調も悪く、集中力が落ち、記憶力も判断力も格段に落ちます。

前回、私がポジティブ回答をしてみたのは調子が悪い日でした。

今回、調子が良い日に、ショートステイについて不満を言うので、ショートのスタッフを褒めるポジティブ回答をしてみたら、
母「なあ~に?随分と褒めることぉ? ・・・なんか・・・私を騙そうとしてなぁい??」
と切り返され苦笑しました。調子が良い日は相当冴えてる時があるんです。

そこで話題をかえて、無意味に褒めてみました。
私「台所きれいだね!さすが料理上手な人は違うね!!」
母「あら、そお?(笑)お世辞言って、やだよ(笑)あんただって料理上手でしょ?!」
と、お世辞で返されましたが、褒められてまんざらでもなかったようです。

くどひろさんの記事を読んでいると、知らず知らずのうちに母に対応するための引き出しが増えていて助かります。沢山の記事があるので過去記事もまた読みに来ます!

39さま

ありがとうございます!

実践して頂けてうれしいです。こういった実践例のご報告は、読んでいてわたしも勉強になります。

ちなみに過去記事、500本近くあります(笑)

私も何かするたびに褒めるようにしました。少し自信が付いたような表情になり次の日からすこしずつ会話が変わったりしました。褒めることは大事ですね

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか