認知症にはIHクッキングヒーターがいいは本当に正しいのか?

認知症の母(70歳)は、本当に料理が大好きです。

症状が軽度なので朝・昼・晩と自分の食事の準備は自分でしますし、わたしの分も作ってくれます。料理をすること自体は認知症にはとてもよく、味付けや下ごしらえなどとにかく工程が多いので脳を活性化させていいそうです。

認知症なので同じ献立を3日連続で出したり、昔と比べると味も落ちてます。それでも料理すること自体が認知症の進行を食い止めるとわたしは信じていて、東京から隔週で実家に帰る1番の理由も実は、

「息子に1日3回食事を作ることで、脳が活性化され、認知症の進行が遅くなる」

と思っているからです。どんな薬よりも、たぶんこれが一番効果的とわたしは信じています。残念ながら料理を作ってあげる相手であった、同じく認知症の祖母(90歳)は病院に入院中なので、基本母ひとりで料理をしてひとりでごはんを食べてます。もうひとつ効果的なのが、

「誰かのために料理を作る」

自分自身のおなかを満たすだけよりも、誰かのために作るという作業自体が、認知症には意味があると思っています。そんな母なんですが、料理はコンロが3つついたガスレンジを、何十年もの間使いつづけてきた人です。

IHクッキングヒーターにすべきという正論

認知症を診てもらっている先生も、この前たまたま行った薬局のおばちゃんも、口をそろえて、

「ひとり暮らしだと火事が心配だから、IHクッキングヒーターに変えたほうがいい」
「認知症が進行したら、操作方法も分からなくなるから、変えるなら今!」

と言います。わたしもその通りだと思い、早速地元の電器屋さんでIHクッキングヒーターのパンフレットをいろいろと集め、値段や機能を見てできるだけ機能がシンプルで音声アシストもつくやつと決めました。

ガスコンロをIHクッキングヒーターに変えること、イコール?

結構高いですよね、IHクッキングヒーター。どんなに安くても工事費込みで10万だし、20万程度の覚悟は必要です。まぁ、しょうがないよなぁ・・・と思っていたんですが、これってあれに似てないって、決めておきながら、急に思うようになりまして・・・

遠くに住む一人暮らしの親を、近くで面倒みたいから上京させるっていうケースってあると思うんですけど、なんかそれとシンクロしてしまったんですよね。何が言いたいかというと、

「長い間慣れ親しんだ環境のものを急に変更させることで、認知症が進む」

長年ガスコンロを使い倒してきた認知症の母が、急にIHクッキングヒーターにすること自体が、ものすごい環境の変化じゃないかって。もっというと、IHの操作方法がいずれ分からなくなって、ひとり暮らしなので操作方法を聞く人もいない・・・・最後には料理するのをあきらめて、料理をする回数がどんどん減って・・・認知症が悪化するというスパイラルに陥っちゃうんじゃないかって。(実際にこのパターンで、認知症が進行した方がいるようです)

答えがないので、ブログのタイトルに【質問】と書きました。もし、ご意見をお持ちの方がいたらツイッターとか、このブログのコメントに書いていただけるとうれしいです。ネットの意見をいろいろと読むと、ほとんどはIHクッキングヒーターを選択されてますが、稀にガスレンジ継続という方がいます。

うちのガスコンロは自動消火機能がついていて、勝手に消えます。その機能が作動した瞬間を何度も見ているし、ガスコンロ自体が吹きこぼしが多いせいか火のつきが悪いというのも分かってます。焦げた鍋もあるし、火をつけたまま火元から離れるということもあります。

とりあえず今週、IHクッキングヒーターのショールームに連れて行って、『これ、どう?』 と母に直接聞いてみますが、どうしたらいいかなぁ~ 一般論に従うべきか、ガスレンジ継続するか・・・ガスレンジをリニューアルという手もあるし・・・火事も怖いけど、認知症がさらに進行するのも怖いし・・・

結構この悩みを抱える人って多くて、認知症の掲示板でもかなり議論されているんですよね。いろいろ読んではみたものの、しっくりする答えがなかったので、つらつらとブログに書いてしまいました・・・すみません。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

12件のコメント

新しい物に慣れる為に学習する‥は脳の活性が期待できまよね。お母様が新しい物がお好きだったり、好奇心がお有りでしたら、今取り入れるのは良い選択かもしれませんね。我家の母は週に1度は鍋を焦がします。しかし、良かれと思って改良しても「元の方が良かった」と必ず言い、慣れようとはしないので、我家では選択肢には入りませんが。‥とここまで書いて認知症が悪化するタイプだなぁと感じてしまいました。黒電話、二層式洗濯機が現役ですから。
失礼しました。

カズさま

コメントありがとうございます!

母は好奇心があまりないタイプで、チャレンジすると不安がるタイプです。黒電話や二層式・・・いいと思います。やっぱり長年、慣れ親しんだ愛着のあるものでやっていくのが一番ですね。我が家もいろいろ改良した結果、使いこなせず元に戻るってことが何度もありました。ってことは、ガスコンロかな・・・

どちらを選択したか又おしえて下さいね。
お母様は料理がお好き、素敵な事です。いつまでもお料理好きを維持出来ます事を祈っています。
我家は父を介護しておりまして、今年の2月に突然発症してからは前日までしていた料理どころか何も出来なくなりました。
うつ病の治療をしても良くならず、今は認知症かうつ病か診断がつかないままです。
フェルガードを調べていてこちらに辿り着きました。
うちもコウノメソッド実践医の元へも行ってます。信頼出来る医師です。
診断はつませんがジワジワ改善してきておりまして、料理は出来ないものの、野菜を切ったりが少し前より上手くなってきました。
フェルガード100M開始して間もなく3ヶ月です。
頑張りましょうね!

カズさま

はい、了解しました!どちらを選択するか、今日も悩んでおりました。

こちらのブログに辿りつく方は、カズさまのようなフェルガード、コウノメソッド実践医が多いですね。最近は、ココナッツオイルで来る方が増えてきました。ミックスオイルを作ったので、その模様を近々公開しようと思っています。効果あるかどうか・・・

信頼できる医師が見つけられてよかったですね、そしてフェルガード3か月目。うちは3か月目まではフェルガード1本でいってました、薬の服用はなしでした。この前フェルガードが値上がりするという報告を受けて、半年分一気に購入しました。

これからも息抜きに、こちらのブログへお立ち寄りくださいませ!

我が家は母が保温ポットを火にかけ、自分から「私にガスを使わせないで」と言ったのに使わせないと怒る日々を過ごした後IHに変えました。そうしたら火がみえないのが怖いと言って料理もお湯をわかすこともしなくなりました。で「したいけどできない、壊したくないし危ないからしない」みたいです。それでも興味はあるのか?ときどきどうやるのか見にキます。 「消えてるかどうかわからないから見て」って言われたときは「消えたかどうかもわからないんだなあ、これは大変だなあ」と思いました。 まあいろいろやってみようかと思います。 使い方を書いた張り紙を貼ったりして。

syumitektさま

いつもコメントありがとうございます!

うちは現在、ガスの方向で検討しています。紆余曲折があって、現在見積依頼中です。
ブログにあるとおり、料理しなくなるのが不安でして・・・

お母さまがIH使えるようになったら、すごいことだと思います!もし使えるようになったら、どんな風にして使えるようになったか教えて頂けるとうれしいです。

今日IHにやかんをかけてお湯をわかしていて母に「お湯が沸騰したら教えて」と言ったら「湧いたらポットに入れるの?」と聞かれ「そうだよ」と答えたら沸騰したあと私は何も言っていないのにIHの電源を切りました。そしてお湯をポットに入れました。驚きました。IHには触らないだろうと思っていたので。調子がいいとこれぐらいはできるみたいです。 鍋もあっためた後(もちろん温めてーと頼みました)電源切りました・・・。 どこがIH怖いんだよ と思いましたw

syumitektさま

引き続きのコメント、ありがとうございます!

安定してIHが使えるといいですね。うちもIHにしたら、できたりできなかったりするんだろうなぁと想像できます。
だんだんできなかったり、できなかったりに移行するのが怖いです・・・うちの母はそんな予感が・・・

今日、母がIHで味噌汁を温めました。誰もそばにいなかったので一人で。
このところ調子がよかったのと、今日張り紙をして、台所にも付箋をして何回かやってもらったことはあったのですが、まさか一人でできるとは・・・。
やったことは
1。台所の壁に「台所の使い方」という張り紙をした。
内容は「1.黒い輪の中に鍋ややかん等を置く 2.「電源」ボタンを1秒押す(「電源」が赤く光れば成功)
3.「スタート/切」ボタン(ピンク)を押す ※電源は操作しなければ切れる、電源の切ボタンで切っても良い」
という内容です。
そして台所の台?にある各種ボタンに使い方と同じ番号を書いた付箋を貼りました
1.鍋を置く(輪の真ん中外側辺り)
2.1秒押す(電源ボタンの「入」の真下)
3.1秒押す(スタート/切)ボタンの真下(「切」をみると母は押して切ってしまうのでそこは隠すように)

そして「手伝って」というと母は手伝いに来るので「お湯沸かすからスイッチ押して」ということを何回かやってもらったのが昼間で、夜の食事の後、味噌汁を温めたのです。
本当に驚きました。 一時は「もう私に何もさせないつもりでしょう」とまで言った母が、です。
もちろん張り紙や付箋も何回となく変えて、その度に「ここがひっかかるのか」と考えて試行錯誤した結果です。
もしかしたらまだまだ、たまたまかもしれませんが、今までIHの使える可能性が0だったのが1にはなったのです。
100は無理でしょうが少しでも近づけるように色々やっていきたいと思います。

それと、人によるかもしれませんがIHを導入するならなるべく操作が少なくてすむ機種が良いと思います。うちの母は「電源を入れないと使えない:」というのにだいぶ苦労させられましたので・・・。

syumitektさま

ご苦労されていますね・・・(泣)

最後の2行は、IHを検討されている方にとってすごく大切な文章ですね。

「なるべく操作が少なくてすむ機種」

認知症で火事が心配だからただIHを薦めるだけではなくって、どういうIHが認知症の人にとっていいのか 実はそこまで言ってくれるお医者さんもネットの
情報もないように思います。うちはガスレンジにしましたが、選んだ基準はやはり「シンプル」でした。

認知症の方の立場になって、機種選択することは本当に大切ですよね!!

IHの機種ですが、個人的にはアイリスオーヤマの卓上2口クッキングヒーターがいいんじゃないかなーと思っています。電源スイッチがなくて「加熱入/切」ボタンだけだったはずです。
あと工事しなくていいのは大きいですね。失敗してもまだ取り返しがつきます。

あ、あと母は「五徳」がないと鍋を置く場所がわからない、とも言ってました。フラットでないことも重要だったんですねえ。

syumitektさま

アイリスオーヤマですね、わたしも検討しました。

うちの親は片づけ癖がすごいので、最終的にどかしてガスを使い始める恐れあり! ということも考えて、ガスレンジを選びました。
フラットでない事も確かに重要ですよね。

あと安いんですよねー

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか