日曜朝の認知症ラジオ番組、ニッポン放送の「ひだまりハウス」。ボディビルダーの本山輝幸氏が開発した「本山式筋トレ」が紹介されたのですが、その中で思わず「あるある!」と言ってしまった話をご紹介します。
母は疲れを知らない?
ここで、認知症ねっとさんの徘徊の原因の記事を引用します。
認知症では疲れるという感じも鈍くなってしまうので、夜通し歩き続けられたりして、かなり遠くまで行ってしまっている人もいます。
引用元:https://info.ninchisho.net/symptom/s50
こういった話よく聞くと思うのですが、本山さんはこのことを、「認知症やMCI(軽度認知障害)の人が特別体力があるわけではなく、痛みや疲れが脳まで届かない」と言ってました。
試しにスクワットをやってみたところ、30回、40回でももが痛いという人が多い中、MCIの方はこちらが止めるまでやり続けることがあったそうです。
母は徘徊しない(手足が不自由でできない)のですが、この話を聞いて意味不明な体力を発揮したことが2度あることを思い出しました。
1.全力で挑んだ握力テスト
かかりつけ医の指示で、訪問リハビリの際に母の握力テストをする機会がありました。シャルコー・マリー・トゥース病の母は、特に握力がなく左手はわずか5kg。その時の母の様子が、今でも忘れられません。
握力計を全力で握る母が、見たことないくらい頑張っているのです・・・いつまでも。作業療法士さんがストップしてくれて終了したのですが、20分後、母は急に倒れてしまい、そのまま寝込んでしまいました。
あわてて病院に電話したのですが、様子を見るということでその時は終わりました。何が起きたかずっと分からなかったのですが、2年半経った今、ラジオを聴いていてこれだ!と思ったのです。疲れや痛みに鈍かったのかもしれません。
2.料理を急に止める
母が外で料理をする機会があったのですが(詳しくは自著:医者は知らない!認知症介護で倒れないための55の心得を参照)、このときもブレーカーをOFFにしたような感じで、料理を止めてしまいました。理由が分からなかったのですが、自分で疲れを意識できなかったのではと思いました。
ちなみに本山氏曰く、痛みや疲れを感じない・感じにくい人は、性別や年齢関係なく5人に1人はいるそうで、認知機能が低下しやすいんだそうです。ここ数年の謎が、一気に解決したのでした。
ス・マ・ヌ テスト
ラジオで本山氏が紹介していた「ス・マ・ヌテスト」もご紹介します。
こちらはテレビ番組で見た方もいると思うのですが、カタカナでス・マ・ヌという文字を、ボールペン・鉛筆・指などで手のひらに書きます。手のひらは背中より範囲が狭くて難しく、MCIの方は正解率が半分以下になるそうです。一般的には6回中5回は正解するらしいのですが、意外と難しいそうです。帰省したら、母に試してみたいと思います。
テスト自体よりも、脳が手のひらに集中して活性化することが大切と言ってました。本山氏の本は下記、認知機能トレーニングは、東京・御茶ノ水のオリーブクリニックお茶の水でやっています。最後にもうひとつ、この記事と関連しないお知らせがあります。
NIKKEI STYLEのインタビュー受けました
日本経済新聞社と「日経ビジネス」などを出版する日経BP社が共同運営しているサイト「NIKKEI STYLE」。その中の人気コーナー「次世代リーダーの転職学」のインタビューを受けました。
日経のようなビジネス系の媒体で掲載されるのは初めてです。本を書くときも「働き方」や「転職」の話を企画段階では結構盛り込むのですが、認知症介護とは関係ないということでいつもボツになります。
よかったら、読んでみてください。
今日もしれっと、しれっと。
お母様は、今は前頭葉症状が目立つ様ですが、レビーでも有ると思います。
レビーの場合、理由はよく分かりませんが、突然固まって動けなくなる(動かなくなる)場合があります。多くは短時間で回復する様です。レビーの家族は、フリーズしたと呼んでいる様です。
あと、一時的に大きな力を出すことも、良くあります。特にせん妄の時に起きやすい印象が、強いです。
人間の筋肉の力は、普段使っている筋力の5倍程度有ると言われて居ます。普段は、筋肉の力を全て使い切ることを、脳が抑制している様です。せん妄や一危機的な状況などの時に、この抑制が解放されて、筋力を全て使える様になる様です。火事場の馬鹿力というのが、この現象に相当します。
小関先生
ありがとうございます。
脳が筋肉を抑制しているけど、それが解放されるという説明、すごく納得です。やはり脳ってすごい役割を果たしているんだなと感じます。