【認知症】親子で食べるスピードを合わせないといけない理由

高齢者の食事

ここ最近、母と食事する際に気をつけていることがある。

それは母よりも早く食べ終わらないこと。

もちろん、母の認知症が理由である。

親子の盛り付けの量の違いで困ること

例えば、母の数少ないレパートリーとなっているラーメン。

母は自分の分を少なく、わたしの分を多く盛りつける。

「いただきます」と言って、母とわたしが同時に食べ始める。

わたしは食べるスピードが早いので、器に残っている麺の量が母よりも少なくなる。

すると母はわたしの器を見て、こう言う。

あら、わたしのほうが麺の量、多かったかしらね。ほら、わたしの分も食べて
くどひろ
いやいや。元々、こっちのほうが量多かったから、大丈夫だって。

数分後。

母はわたしの器を見て、こう言う。

あら、わたしのほうが麺の量、多かったかしらね。ほら、わたしの分も食べて
くどひろ
いやいや、自分が食べるスピードが早いからだって。元々、こっちのほうが量多かったから

また同じ話の繰り返しになる。

母は認知症だから、ラーメンの量の多少も忘れてしまうし、会話自体も忘れる。

だから、食事が終わるまで、何度となくこの会話が繰り返される。

自分の食事のスピードをコントロールした

正直なところ、食事のたびにこの会話になるし、高齢者の母の食べるスピードより遅く食べるのは、なかなか大変だ。

しかも、食事は毎日のことだから、食べるスピードをコントロールするのは、なかなか骨が折れる。

ただ、昔から母はこういう人だった。

ほら、わたしの分も食べなさい。
くどひろ
え、いいの。じゃぁ、いただきまーす

わたしが高校生の頃のやりとりである。

食べ盛りの高校生の息子に、多く食べさせてやりたいという母の気持ち。

きっと認知症の母は、当時の記憶を思い出しているのだろう。

しかしアラフィフの今のわたしは、母の分まで食べたいとは思わない。

そんなことが頭をよぎるから、「 全力で 」イライラすることはない。

そこで考えた。

最近は、母が食べ始めて数分経った頃に、わたしは食べ始めるようになった。

そうすると、わたしはいつものスピードで食べられるし、母も「ほら、食べなさい」と言わなくなる。

但し、ラーメンの場合は麺が伸びてしまうので、注意が必要だ。

昔、twitterでこの話を呟いたことがある。

正直、この話と同じことが認知症介護をしている他の家族にあるなんて思ってもいなかったが、どなたかの家でも同じと言われたような記憶がある。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか