ちきりんさんの新刊を読んで考えた認知症の母が住む実家をリノベーションするときの4つのポイント

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

ちきりんさんの2019年4月発売の新刊『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(ダイヤモンド社)を読みながら、認知症の母がひとりで住む実家をリノベーション(リフォームより大規模に工事すること)するとしたらこう!という、4つのポイントをご紹介します。

介護者なら一度は考えるであろうリフォーム

在宅介護しているご家庭なら、最初に思いつくのが介護保険制度を利用したリフォームではないでしょうか?

「居宅介護住宅改修費」を利用して、1人20万円まで(自己負担は2万、18万は支給)使えるので、手すり、階段リフト、スロープ、開き戸から引き戸への変更などを検討すると思います。

うちもいずれ利用しようと思っていますが、母は家の中なら壁伝いに歩くことができるので、車椅子を利用するようになったら、リフォームを検討する予定です。

今日の話はリフォームではなく、リノベです。もっと大規模な視点で家を変えるとしたら、この4つは外せません。

断熱材をしっかり入れる

盛岡の実家は昭和42年に建てた、築52年の一軒家です。

昭和53年に客間と2階を増築したのですが、父、母、わたしと妹、そして住み込みで寮母をしていた祖母が一緒に住むことになり、手狭になったためです。2階に子ども部屋2つと、祖母が住む部屋、車庫を増築をしました。

断熱材は一部しか入っておらず、とにかく冬は寒いです。母が居る居間の天井は、DIYで断熱材を入れたので、他の部屋よりはましなのですが、家の廊下や玄関、トイレの冬の寒さは異常です。

断熱材
DIYで居間の天井裏に断熱材を入れた

断熱材を入れて、夏は涼しく、冬は暖かい環境で、母には過ごしてもらいたいです。

減築する

劇的ビフォーアフターを見ていて思うのは、意外と減築する家が多いということです。母1人で過ごしているのに、今の実家は家族5人で住んでいたときの仕様のままです。

ムダな部屋があるので、増築前の状態まで減築します。それでも母は十分生活できると思います。

車椅子での移動を考えたバリアフリー

亡くなった祖母が病院から車椅子で一時退院したとき、玄関の段差が高いなと正直思いました。

わたしが今、バリアフリーに積極的でないのは、家のすべてのものが母にとってリハビリになっていると考えているからです。

玄関の段差だって、足の筋力アップにはいいと思います。足が不自由な母なので、敷居の段差でたまに転ぶこともあります。段差解消のスロープをつけてもいいのですが、小さな敷居を無意識のうちに超える筋力を使っていると信じています。

バリアフリーもやり過ぎると、逆バリアフリーになるはずなので、家全体で母の手足のリハビリを行っています。

しかし、あと数年で車椅子生活になる可能性が高いです。そうなったら、トイレのドアを引き戸にしたり、ちきりんさんの本にもあった、洗面台の下をオープンにして、車椅子のまま洗面や歯みがきをする仕様にするかもしれません。

ちきりんさんの家のトイレにドアがないと話題になりましたが、在宅介護している人だったら、うちも!という方、いらっしゃると思います。古い家のトイレの扉が邪魔で、外したほうがトイレ介助しやすいという方、きっといますよね。

うちもトイレの扉、なくそうかな。

今の家の間取りをそのままにしてリノベする

わたしが一番書きたかったのは、これです。今の間取りをそのまま維持して、リノベをするということです。

認知症の母は増築した家ですら、「自分の家ではないみたい」ということがたまにあります。昭和42年の家は記憶にあっても、昭和53年の増築分は記憶から消えることがあります。

なので、リノベで目指すのは、母の中の記憶にある増築前の家です。全く同じ間取りなんだけど、暑さや寒さに強く、段差もない。それでいて、わたしも在宅介護しやすい家にリノベーションします。

リノベをして、大きく間取りを変えてしまったら、母はおそらくどこに何があるか分からなくなって、料理をしなくなったり、トイレにたどりつかなくなったり、寝室で寝なくなったりするような気がします。

母に1日でも長く、元気に生きてもらうためには、とにかく自分で何でもやってもらうことです。リフォームやリノベをすることで、母が今できることを奪ってはいけません。

わたしが介護施設の入居に、二の足を踏む理由もこれです。トイレの場所も、部屋の環境も大きく変わってしまったら、母は何もやらなくなって、ボーっとして動かなくなってしまう気がします。

祖母が病院のベッドから転落して、大腿骨を骨折してからというもの、ベッドから動かなくなりました。それで一気に死が近づいたとわたしは思っているので、母にはとにかく家の中を動き回ってもらうことが大切だと考えています。

ちなみに実家のリノベ予定は、全くありません。ちきりんさんの本を読みながら、もし実家をリノベするならこうするだろうな・・と妄想を膨らませただけです。

介護している人は、第13章の リノベで「親の家問題」を解決 のところを、ぜひ読んでみてください。介護者の皆さんも、親が意味なく物を抱えて困っていらっしゃいますよね?そんな方にもぜひ読んで欲しいと思います。

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

先日、母の足に大きなあざができていました。何処にぶつけたの?と聞いても、覚えてないとの答え。あるあるですね。ただ思い当たる事がひとつありました。最近ひざがはれてきたため、立ち上がりのやり方が以前とは変わっていたのです。たぶんこういう時が要注意ポイントなんですよね。

南の9月さま

確かに見慣れない傷やあざを見つけること、よくあります。本人はもちろん覚えてません。
うちは毎週来て頂いている理学療法士さんが、訪問リハビリをしながらチェックしてくださる仕組みに自然となりました。
カメラも録画しているので、そのあたりで原因を探るようにしています。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか