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「迷惑をかけてはいけない」という思いで介護すると自滅する

車椅子

先日読んだ記事でとても興味深かったのが、コルク代表・佐渡島庸平さんの『「迷惑をかけてはいけない 」 という呪い』という記事だ。

記事の要約

記事では、車椅子生活をヨーロッパやミャンマーで送る場合と日本の違いが紹介されている。

詳しくは記事を読んで欲しいのだが、日本とはまるで違う世界が見てとれる。ミャンマーの人が我先に車椅子を押す理由も書いてあるので、ぜひ読んで欲しい。

佐渡島さん曰く、「迷惑をかけないように」という言葉は、思考停止を促す呪いの言葉だと。

「他人に迷惑をかけてはいけない」という時の迷惑が、「他人の力を借りてはいけない」という意味だとしたら、誰一人生きていけなくなってしまう。

引用元:コルク佐渡島の好きのおすそわけ

「迷惑をかけないように」と考える介護者が多い

わたしも会社員時代は、人に頼ることよりも、自分でやっちゃったほうが早いと考えるタイプだった。「迷惑をかけない」=「他人の力を借りない」と思っていた時期である。

会社で昇進し、仕事のキャパが個人の能力を超えたときに、人に頼らざるを得ない状況になった。ここでやっと、他人の力を借りることに抵抗がなくなった。

さらに40歳で遠距離介護生活を始めたとき、自分ひとりで介護はできないことを早々に悟った。

認知症で子宮頸がん、余命半年と言われた祖母と、認知症の母を、初めての介護で同時にできないなと思ったし、自分の生活を犠牲にしたくないと思ったから、人に頼るしかないと。

今となっては、最初から追い込まれたことがプラスに働いていると思う。

介護初期の方で、人への頼り方がよく分からないから、自分だけ、家族だけで介護しようとする。それで会社を辞めちゃう人もいる。

人に頼らずに介護で苦労して悩んで、考えを改めるのならいいのだが、強引に頑張って介護ができちゃったとする。それがそのまま習慣になってしまい、次第に他人との関わりを失くす方へと走ってしまうこともある。

また、日本人特有の「迷惑をかけたくない」という思いがあるから、自分たちだけで介護をやりきれば、迷惑は誰にもかけていないという、不思議な達成感みたいなものもある。

日本では、「迷惑をかけない」という言葉を大切にするあまり、他人との関わりを失くす方に走ってしまっている。

引用元:コルク佐渡島の好きのおすそわけ

介護者の中に、こういう人はたくさんいる。

「迷惑をかけない生き方を学ぶより、頼り方を学ぶ」という言葉は、多くの介護者に刺さるはず。必要以上に「迷惑をかけない」と考えるから、大変な介護の道を選んでしまうのだ。

迷惑をかけないように努力した結果、介護者が自滅してしまい、他人に迷惑をかけてしまうくらいなら、早めに迷惑をかけてしまったほうがいいと思う。

介護の頼り方はいくらでもあるのだから、「迷惑をかけない」という言葉に固執しないで欲しい。

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今日もしれっと、しれっと。


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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
老いた親の様子に「アレ?」と思ったら(PHP研究所)、親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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