認知症介護で使うポータブルトイレの選び方・掃除やおすすめの処理袋

母の夜間失禁の後始末に、朝から数時間とられる日が続いたので、とうとう前から考えていたポータブルトイレを母の寝室に設置しました。

1回目のポータブルトイレ体験

亡くなった父が、急性期病院から退院して余命を自宅で過ごす選択をしたとき、ベッドサイドにポータブルトイレを設置しました。

退院直後は寝たきり状態だったので、ベッド横のポータブルトイレに移動するだけで10分もかかりました。あまりに動けなかったので尿瓶を併用し、腹圧をかけられないほど弱っていたので、看護師さんに摘便(肛門から指を入れて便を掻き出す)をしてもらいました。

その後回復し、1か月後には普通のトイレを使うようになったので、短期間しか使わなかったのですが、わたし的には4年ぶり2回目の利用です。

母のポータブルトイレ導入を決めた理由

母は数年前から、夜間失禁はありました。

最近になって回数が増え、する場所が畳やフローリングの上になり、それをあろうことか、まくらを雑巾がわりにするという母の行動で、わたしの負荷は一気に増えました。


今冬の寒さは異常だったので、最初はそれが失禁の原因と思っていたのですが、暖かくなってからも同じだったので、認知症の進行や老化、手足の不自由さのほうかもしれません。

母の場合、立ち上がりもトイレまでたどりつくのも時間がかかります。また手先の動きも微妙なので、ズボンの上げ下げも時間がかかります。そういった要素がすべて重なって、失禁が多くなっていると思うので、とうとうポータブルトイレの導入を決断しました。

ポータブルトイレ導入時の課題

決断したとはいえ、ひとつ懸念がありました。それは、母がポータブルトイレを使うかどうかです。

「おまるなんか使わない」と言ってた時期もありましたし、そもそも認知症でトイレと認識できるかどうか微妙なのです。ケアマネさんに相談したところ、わたしの懸念と同じことが他の家で起きていて、トイレと認識しない、トイレを片づけちゃう、モノを置く場所に使うなどがありました。

この課題を、うちでは必殺貼り紙攻撃で対処することにし、しれっと設置しました。またトイレットペーパーホルダーがついているので、それでいかにもトイレ感が出ています。使ってくれるだろうか、ドキドキ。

貼り紙でトイレを表示

トイレを設置した翌朝、バケツの中を見ると、いきなり初日から使っているではありませんか!やった!ただ、便座がどういうわけか尿で汚れてました。

高頻度で使ってくれるようになりましたが、本人はトイレが寝室にあること自体、認知症で忘れてしまうようです。あれ、これ何なの?と何度も言い、貼り紙で気づく感じです。

ポータブルトイレの選び方

福祉用具専門相談員の方と話しながら、ポータブルトイレを選びました。選び方のポイントと、わたしが質問したのはこちら。

  1. トイレは家具調と樹脂製、どちらがいいか
  2. 便座はソフト便座か標準か
  3. 便座に暖房や脱臭をつけるか
  4. 自動ラップ機能や水栓トイレは便利か
  5. 処理袋はどうするか

ポータブルトイレは大きく、家具調タイプと普通タイプに分かれ、さらに便座が座りやすくて柔らかいソフト便座と普通のプラスチックタイプがありました。

家具調は部屋にトイレがある違和感の解消と、重いのでグラつかないメリットがあります。うちはむしろはっきりトイレと分かって欲しいのと、便座の取り外しができて掃除がしやすいので、樹脂製を選びました。

便座はソフト便座にすると耐久性がなく割れて、お尻の肉をはさむ人がいるとのことで標準タイプ(樹脂)にしました。暖房機能は母がコンセントを抜いてしまうので、こちらは止めました。

ポータブルトイレの価格は介護保険1割負担なので、約2000円。福祉用具の購入は年間10万円(10割計算で)までで、3月末で毎年リセットされますが、それほど購入する福祉用具はないので、満額を使い切る方はあまりいません。

自動ラップ機能とは、ポータブルトイレのバケツいらずで尿便を回収する袋がついていて、それをボタンひとつでラップして廃棄できる機能です。意外とバケツの掃除が大変で、バケツを寝室からトイレまで運んで尿や便を捨て、バケツを洗って戻さないといけません。

ラップタイプは、お世話する人全員が操作できればいいのですが、遠距離介護でヘルパーさんもたくさん来るし、妹が来る日もあるので、みんなに分かりやすいほうがいいと思いやめました。

水洗タイプは、2014年当時にこんな記事を書きました。

あれから介護保険対象になったのですが、工事が必要でランニングコストが高く、使っている人はあまりいないようです。

ポータブルトイレの掃除をラクにする処理袋

わたしが実家にいるときは、毎日トイレのバケツをチェックして、尿が入っていれば捨てればいいわけですが、タイミングによってはヘルパーさんが来るまで2日空くこともあります。

さらにバケツの掃除が面倒です。バケツの尿をトイレに捨て、バケツ自体を洗います。捨てるトイレ側の飛び散りも気になるので、トイレ掃除が単純に2倍になりました。

長年使っているとバケツにニオイがうつるので、ポータブルトイレ用の処理袋を購入しました。ラクリーンバックと悩んだのですが、うちのポータブルトイレが安寿(ブランド名)だったことと、1枚当たりの単価が安かったので「すっきりポイ」を使ってます。

すっきりポイの外観

ただメーカーに問合せたところ、防臭消臭効果がなく別途スプレーが必要とのこと。尿1000mlまで耐えらえるけどニオイ問題があるので、あまり長期では使えません。

すっきりポイの中身

30枚を使い切ったところで、若干割高ではありますが尿4回分を吸収し、しかもニオイ対策ができているラクリーンバックNに変更します。わたしはAmazonで購入したのですが、福祉用具業者から処理袋を買ったほうが安い場合もありそうです。(うちはAmazonのほうが安かった)

バケツにすっきりポイをセット
ラクリーンバッグNをセット

バケツに溢れんばかりの尿がたまっているご家庭もぶっちゃけあるので、ニオイや清潔の基準はそれぞれだと思いますが、保てるところは保とうと思ってます。遠距離介護だから、限界もあります。

ポータブルトイレ処理袋の比較

処理袋を両方使ってみて、メリット・デメリットが見えてきました。わが家では昼間は普通のトイレ、夜間はポータブルトイレ、そして遠距離介護なので、処理袋をこう使います。

処理袋の大きさ(外観)の比較

すっきりポイ

  • 1枚あたりの価格が安い(30枚入)
  • 袋が黄色なので、尿が目立たない
  • 袋の中のパッドが大きいので、なんとなく安心
  • 袋が大きく、保管場所を取る
  • 消臭効果がないため、1日に1000ml近く尿をする方にはいい
安寿 ポータブルトイレ用処理袋 すっきりポイ 30枚入

安寿 ポータブルトイレ用処理袋 すっきりポイ 30枚入

3,488円(11/21 10:53時点)
Amazonの情報を掲載しています

ラクリーンバッグN

  • 1枚あたりの価格はすっきりポイより、若干高い(20枚入)
  • 袋が白いので、尿の色が気になる場合も
  • 袋の中のパッドが小さい
  • ロール状にコンパクトに箱に入っていて、保管場所を取らない
  • 軽く消臭効果があり、尿をジェル化してくれる
  • ヘルパーさんや家族が頻繁に袋を変えられない場合は、消臭があったほうがいい

ラクリーンバッグも軽く消臭効果はあるものの、尿のニオイは残ります。なので、母と一緒のときはできるだけ処理袋を交換したほうがニオイもないので、すっきりポイを。不在のときはラクリーンバッグNを使います。

ポータブルトイレのおかげで、母が寝室の畳を汚したり、掃除する手間が激減したのは事実です。しかしトイレ設置後に2回ほど、まくらに尿を吸わせたことがありました。ギャー!! まくらの洗濯は本当に大変なので、対策しました。別記事でご紹介しますが、全くニーズはないかもです。

音声配信voicyの最新回は、講演会で起きた想定外のハプニングベスト3です。介護の気づきと関連しています↓

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか