転倒防止のために設置した重い手すりを移動する認知症の母

2024年3月末に、自宅の居間で転倒して骨折した母。

今後転倒しないよう、介護保険でレンタルしている置き型手すりの配置を福祉用具専門相談員さんに自宅まで来て頂いて、一緒に見直しました。

手すりだけでなく家具の配置も工夫し、母の動線近くに必ず手をつけるような場所に移動して、よろけてもつかまれるようになりました。

2か月くらい母の動きを観察したのですが、本当によくできた配置で、何度か転倒しかけたこともありましたが、手すりや家具の配置に救われています。

しかしせっかくこうした工夫をしたのに、母がこの配置を勝手に変えてしまい困っています。

転倒骨折した居間の手すり

1番工夫した場所は、居間です。

骨折した場所は何もつかまるものがなかったので、他の場所にあった置き型の手すりを設置しました。

ところが母はこの手すりが気になって気になって、仕方がありません。手すりではなく、居間に「余計な」ものが置いてあると思うようで、この手すりを片付けようとするのです。

手すりの重さは20kgもあって、わたしがギリギリ持ち上げられるほど重いものです。重さがあるので、母がつかまっても安定するのですが、この手すりを押して移動するのです。

この重い手すりを動かす母

わたしが転倒しないよう、骨折しないよう工夫しても、認知症の母は本能のままに行動します。口頭でお願いしたり注意したり、貼り紙で注意喚起したりしたところで、全く効果はありません。

何度か手すりの向きを変えられてしまい、これを何とかしないと転倒から母を守れないと思っています。

現在の対処法と今後について

もし手すりの向きが変わっていたら、介護職の方に電話をして元に戻してもらうようにしています。

まさかこんな重いものまで動かしてしまうとは。手足が不自由でも、一度気になったら忘れてしまうまで続けるので、少しずつ少しずつ時間をかけて向きを変えたり、移動したりします。

忘れるけどこだわったら、とことんやるんですよね。手すりは畳の上に置いているので、他のもので固定が難しいため、今度帰省したら天井と床を突っ張り棒で固定して、手すりを移動できないようにするかもしれません。でもそれをやると、今度は突っ張り棒を引っ張って倒してしまうかもしれません。

母はキレイ好きで、置き物の配置などちゃんとしていないと気が済まない性格です。元々そういう人でしたが、認知症が進行してそのこだわりは相当強くなりました。とはいえゴミ箱を台所の上や電話の近くに飾るので、わたしから見るとおかしいことになっているのですが。

母に骨折してもらいたくないし、わたしもあの介護は2度とやりたくないので、手すりを動かさない工夫をいろいろ考えてみます。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか