遠距離介護5年目に突入!わたしと叔母で3年前に決めた「取り決め」のはなし

2012年11月から始まった遠距離介護生活も、丸4年が経過し5年目に突入しました!

医師選びを間違えていたら、わたしや家族が認知症の方の接し方を勉強していなかったら、ステキなデイサービス、ヘルパーさんに出会ってなかったら、こういう通いの遠距離介護はできなかったわけで、本当にありがとうございます!!

できれば、この状態を長くキープしたいと思っていますが、何がどうなるかなんて分かりません。先を考えず、毎日を後悔なく(自分自身も)生きて行こうと思ってます。

わたしと叔母のある「取り決め」

叔母(わたしの母の妹)と最後に会ったのが、3年前の祖母の四十九日でした。そんな叔母から最近、3年ぶりに電話が来ました。鼻毛に1本の白髪を見つけたときぐらい、びっくりしました。

3年前、久々に姉妹水入らずで過ごしたものの、1日中同じ話しかしない母にお疲れだった叔母。電話の用件は、叔母の旦那さんが70歳という若さで亡くなったという電話でした。この叔母とわたしの間には、ひとつ取り決めがありました。

それは、叔母は旦那さんの介護をするから、姉の介護はできない。その代わり、介護をわたしに一任すると同時に、祖母の遺産を放棄するというものでした。

叔母の遺産放棄は、わたしが提案し説得しました。父が家出中の我が家は、母の年金だけで生活しています。正社員期間が短く、ほぼパート勤めだった母なので、年金は少なく毎月赤字です。それを、祖母の遺産で補てんしています。

成年後見人にわたしがなり、祖母の財産をすべて調べ尽くしたから、納得してくれたのかもしれません。祖母が亡くなって、銀行口座がロックされたあと、母と叔母に同席してもらって、わたしが祖母の全財産について説明をし、今後の使い道プランまで話しました。

揉めることも覚悟しておりましたが、すんなり納得してくれた叔母には感謝しています。その叔母の電話はこうでした。

叔母
ひろちゃんに、電話するの怖かったのよ~ 3年も経ったでしょ、姉ちゃんはさ、施設に入ってしまったか、おかしくなってしまったんじゃないかと・・・

その気持ち、めっちゃよく分かります。3年間、何のやりとりもせず、認知症へのイメージはマスコミ通りな叔母からすれば、今頃暴れている姉さんを想像していたことでしょう。

くどひろ
かなりうまくいっていると思うよ。認知症テストの点数もキープしているし、お医者さんや介護職の方にも恵まれているしね。3年前と変わらず、同じことをマシンガントークしてるよ(笑)

この電話で、もうひとつ「取り決め」が増えました。

これで母が知らない亡くなった人が3人に

それは、叔母の旦那さんが亡くなったことを、母に最期まで伝えないということでした。そういった人が、これで3人になりました。母は亡くなったことを悲しむというよりかは、この心配をするはずです。

わたし拝み行ったの?お金渡したの?

この質問を、わたしに異様な回数するはずです。人が亡くなったときにする「常識的な振舞い」を、わたしはできたのだろうか?ということを、ものすごく心配します。お隣の旦那さんが亡くなったとき、このゾーンに入りました。

自分の親が離婚して、貧乏で、近所の目ばかり気にして生きてきた母ですから、「常識的な振舞い」ができずに周りから責められることを恐れているのでしょう。

おそらくこれからも、母の身近な人が亡くなっても、伝えることはしないと思います。悲しみや不安のない幸せな世界を、キープし続けようと。祖母が子宮頸がんで余命半年と言われたときも、本人に告知しませんでした。認知症の人は実は理解しているからと、何でもかんでも伝えるのもどうかな・・と、わたしは思っています。

母自身が天国に行ったとき、皆さんと再会してびっくりしてちょうだい!それまでは、わたしが預かっておきます。預かっておくことに、ストレスはないです、今3人の死を伝えたら、大変なのは間違いなくわたしだからという、自分中心の理由・・・

5年目もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

こんにちは。
そうですよね~天国までの秘密がいいですよね^^
最初の頃は私もイライラと訂正していましたが、
それでお互いさらにイライラ&パニックになっていました。
もう逆らわないし、訂正もしてません。
私の母も、自分の両親、祖父、叔母、配偶者・・・大好きな人達はみ~んなまだご存命です。
消息を聞かれて私も、「みんな元気に忙しくしてるよ~」と言ってます。

わかなまるさま

やはりわたしと同じように存命させている方、いらっしゃいましたね(笑)その方が自分自身がラクなのでそうしてますが、結構いらっしゃるかもしれませんね。

こんにちは
「大変なのはわたしだという自分中心な理由」に賛成です❗
くどひろサンの教え⁉通り、母を混乱させない為に嘘をつくことを優しさと考えてます
それは自分が少しの間だけ楽になれるから。
そうして いい介護ができるのだと…。
いつも いつも そうできるわけではないので キツイのですが。
しれっと いきますよ~ヨロシクお願いしますね~

函館の女さま

本当にいつも同じようにできるわけではないんですよね・・・8割くらいできればいいかなと思って、わたしはやっています。
よろしくお願いします!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか