認知症の母の歯磨きと化粧もやむを得ず制限することになった

認知症の母の命や健康をおびやかさない限り、これまで母の好きなように生活してもらっていました。

しかし認知症が進行するにつれ、食器用洗剤の誤飲、冷蔵庫の脱臭剤の誤食、部屋の消臭剤の誤食未遂などの問題が増えてしまったので、最近はいろいろ行動に制限をかける方向に舵を切っています。

それもこれも母やわたしが希望している、最期まで自宅で生活するための措置であり、目標を達成するためにはやむを得ないと思っています。今回新しく制限をかけなければならなくなったのが、歯みがきと化粧です。

なぜ歯みがきの制限が必要になったのか?

遠距離介護で実家に帰って、冷蔵庫を開けたところ歯みがき粉にまみれた箸が10本ほど見つかりました。

おそらく母は食器用洗剤を探している最中に、近くにたまたまあった歯みがき粉がいいと思ったのでしょう。洗剤のように箸につけ、でもうまく洗い流せず、さらに食器棚に片づけるべきところを冷蔵庫に片づけてしまったのだと思います。

過去に食器用洗剤を誤飲したので、母が届かない台所の上の棚に隠してあります。歯みがきセットは洗面器の中に、なくしてもいいように歯みがき粉は2本、歯ブラシは1本入っています。ところがこの歯みがきセットが、鍵のかかった食糧庫の中から見つかりました。

おそらくヘルパーさんが歯みがきセットを逃がしたのだと思うのですが、箸以外にも被害があったと思われます。台所のシンクなどが歯みがき粉まみれになっていて、それを掃除してくださったのかもしれません。

母と一緒に生活しているときも、歯みがき粉を食器を洗うスポンジにつけようとしている姿を何度か見ていたし、今後は食べる可能性もあるので、今回から制限しようと思います。

というかそもそも、母がひとりの時はきちんと歯みがきはできていませんでした。なぜかというと、母が歯みがき粉や歯ブラシをいろんなところへ片づけるので見つけられないのです。

口腔ケア自体はデイサービスにお願いしているので、基本はそちらで対応するようにして、わたしが帰ったときだけは見守りながら歯みがきをしてもらおうと思っています。

なぜ化粧も制限するようになったのか?

化粧に関しても歯みがきと同じで、母は定位置に戻せません。ファンデーションや口紅が家のいろんなところから出てきて、明らかにひとりのときは化粧はできていませんでした。

しかも口紅を眉毛に塗ろうとしたり、下手すると誤食したりする可能性もあるので、こちらもわたしが帰ったときだけやってもらうように変更しました。

歯みがきも化粧も制限というよりも、間違った使い方をする回数が増えてきたので逃がしただけで、実はこれまでとそんなに変わってはいません。

誤飲や誤食、間違った使い方をしないよう環境を整えているうちに、台所や居間から物がなくなっています。いずれ異食問題も考える時期が来ると思うので、そうなると本当にスッキリとした部屋になってしまうかもしれません。

今日もしれっと、しれっと。


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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか