真冬の雪道は自分の老後を想像できる場所

スノーブーツを履き、ザックザックと音をたてながら雪と氷でツルツルになったスケートリンクのような道路を、ペンギンみたくチョコチョコ歩いていると必ず思うことがある。それは真冬になると、自分の行動範囲が半分以下にまでなってしまうことだ。

例えば、近所のスーパーまで自転車なら5分ほどの距離なのに、雪が降って自転車が使えず、やむを得ず徒歩で転倒しないように歩くと、軽く10分以上かかってしまう。スムーズに歩いているつもりでも、時計を見ると思っている以上に進んでいない。なんとももどかしい。

しまった!卵がない!と思っても、あの雪道を歩くのが面倒だから、卵がなくても我慢しようとなってしまう。ランニングだって、氷の上で転倒して骨折したくないから中止。

寒さのせいで、恐ろしいほどやらないことが増えるし、できることも時間がかかり過ぎてしまって諦めるので、どんどんどんどん自分の行動範囲が狭まっていく。

おそらくこの感覚は、そう遠くない未来にやってくる自分の老後と合致する。

例えば、膝が痛い、腰が痛いなど、体の様々な箇所が不自由になると、行動範囲は自然と狭くなる。

車を運転したり、自転車に乗ったり、杖をついたり、車椅子を使ったり、補助してもらえるツールはたくさんあるが、それでも一手間追加される。今度はその一手間がおっくうになって、さらに行動範囲が狭まる。

先日、首都圏でも大雪が降って、いつもより通勤や通学にえらく時間かかって、使える移動手段も限定されて、皆さん大変な思いをされたと思う。おそらくその大変な感覚が、高齢者の方にとっては日常なんだと思う。

雪道に老後の疑似体験を重ねるのもどうかと思うが、自分なりにこの不自由さに耐えられるか、慣れてしれっと暮らしていけるのか、いつもシミュレーションしているが今のところは答えが出ていない。

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2件のコメント

今年もよろしくお願いいたします。

4〜5日前、私の息子が部活中に足首を捻り、ヒビが入ってしまいました。ギプスに松葉杖の生活で、介助が必要です。次回の父の通院は妹にお願いしました。
介護する人は、一人でも多いほうが安心だと感じる出来事でした。

sakoさま

今年もよろしくお願いします!

息子さん、大変でしたね。そして妹さんにお願いできてよかったです。おっしゃるとおり、一人でも多く介護の人手は確保したほうがいいですよね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか