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お仕事のギャラ論に共感した話

先日、写真家の幡野広志さんのnoteの有料記事、『深くてせまい技術と、幅がひろいギャラ』を購入して、強く共感したのと自分の仕事に置き換えてみた話です。

タダの仕事はよくない

noteの有料記事の一部は無料公開されているので、その部分を引用します。

いろんな仕事をしてわかったことだけど、どの仕事も内容は違えどやることはだいたい一緒だ。「やること」というのは「おしっ!やるぞ!!」と不安に向き合って勇気をだして、事前に考える準備と本番で出す技術のことだ。

やることは一緒なのに、こんなに違うのかってぐらいギャラの幅がひろいことも知った。やることは一緒だからギャラは高けりゃ高いほどありがたいけど、ギャラが低くても手を抜くことはまったくない。そもそも抜き方もわからない。技術は深くせまくなるものだ。

引用元:https://note.com/hatanohiroshi/n/nf582c3bbdf1e

この引用のあとに、「タダはよくない」、「でもタダで仕事をしてしまった」とも書いてありました。また「ギャラの高い仕事ほど現場で丁重に扱われ、タダの仕事や極端に安い仕事ほど過酷に扱われやすい」とも。むちゃむちゃagreeで、全く同じ経験をしてきました。

ギャラの安い仕事を受けると連鎖する

わたしの仕事は主に原稿の執筆、講演、あとは本の印税です。これらはすべて自分で最初に交渉をして、単価やギャラが決まったあとでお仕事をします。

この中でギャラの幅が広いのは講演で、「タダ同然」のお仕事はお断りするようにしています。厳密にはタダではないのですが、「それ、交通費払ったら実質タダみたいなものですけど?」っていうご依頼はよく頂きます。

おそらく依頼者は「フラッと来て、ただ話すだけでしょ?」と考えていると思うのですが、そんなことはありません。講演内容のヒアリングから始まって、その地域や会社に合わせて事前準備をしっかりやります。

ギャラが高くても安くても、かける時間は同じです。なぜそうなるかというと、ギャラの高低は講演に参加される方には関係ないからです。だから一切、手は抜けないのです。

もう1つ幡野さんのnoteで共感したのが、タダ同然の仕事を受けると「安いギャラでやってくれる」と勘違いされて、似た仕事が連鎖する話です。わたしも経験済みで、丁重に断り続ける手間が何度も発生するので、そこまで考えてお断りすることもあります。

これっていわゆるwin-loseの関係になっていて、依頼する側は費用の節約でwin、依頼を受けるわたしは時間と労力に見合う対価が得られてないからloseです。

タダ同然でもやるお仕事は、会社員時代からの知り合いやお世話になった人からの依頼(数えるほどしかいない)、自分が面白いと感じてタダ同然でもやらせて欲しいと思う、ものすごく社会貢献できるとかでしょうか。

他にもいくつか条件があって合致したときはやりますが、そういう機会は少ないです。

無料で介護の意見交換、知人の紹介パターンが困る

あとフリーで活動している人と、会社勤めをしている方の意識の差をよく感じます。

7年くらい前にある大手企業から、介護の意見交換をしたいと言われました。わたしはいつものとおり「それはお仕事としての依頼ですか?」と返事をしたところ、急に連絡がこなくなりました。まさかお金の話になるとは、思っていなかったようです。

必ず最初に「仕事ですか、ボランティアですか」と聞いておかないと、よく分からない状態で打ち合わせが何度も続くようになって、この時間ってなに? となります。

あと、「中途半端な」知人の紹介パターンも困ります。知人の顔を立てるために1回だけ話すのですが(中途半端なので、本当は立てる必要もない)、そのあと「仕事かボランティアか」を聞かないと、なし崩し的に仕事が本格化します。

わたしの仕事は「介護」に関連しているので、ボランティアでやってくれそう、安く請け負ってくれそうというイメージを持たれがちです。でもしっかり交渉するので、変にガッカリされることもあります。勝手にガッカリして欲しくないのですが、フリーってそういうものです。

フリー歴12年のわたしが今まで生活してこれたのは、このルールをしっかり守ってきたからで、いい人だけでは正直食べていけません。フリーの世界は本当に厳しい、だけど楽しいです。

今日もしれっと、しれっと。


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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【著書】
親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか

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