認知症の人が買い物できないのは、「計算が苦手」という理由ではない!

認知症 計算苦手ではない

先日、「未来をつくる認知症ケア」というイベントに登壇したとき、大トリを務めた東京・町田のデイサービス・DAYS BLG!(デイズビーエルジー)代表、前田隆行さんがお話されていたことをご紹介したいと思います。

DAYS BLG!は、認知症の方の働きたい!を実現している、全国でも珍しいデイサービスです。わたしの新刊でも、自分の母を含めて、3人の「働く実例」をご紹介しました。認知症であっても、そうでなくても、働くことがどれだけ元気を与えるかというお話なので、ご興味がある方は読んでみてください。

認知症の人は「買い物できない」って、ホント?

厚労省の社会保障審議会で使われた資料の中に、認定支援ネットワークさんのデータがあって、前田さんはこの資料を用いてプレゼンされました。

認知症 計算苦手

要支援1から要介護2の方々の介護認定データで、それぞれの動作を「できる・できない」で判断し、どれだけの人が「できる」かをパーセントで表したものです。

表を見ると、要支援1から要介護2の方々は、歩行もできる、洗顔も、排泄も割と自立しています。注目は右から2番目の赤丸のところ、「買い物自立」だけが極端に悪いのです。ちなみにその2つ左にある「金銭管理自立」はできています。

前田さんのお話は、まさに母の口癖だったのです。

次の人を待たせるのがイヤだからね、だからお札で払うようにしているのよ

母は計算できるほうですが、レジのような短時間では厳しいとわたしは思っていました。だから、母の口癖も「自分が計算できないことへの言い訳」だと思っていたのですが、前田さんの話を聞いて「レジの次の人を、待たせるのがイヤなだけ」が、本当の正解ではないかと思いました。

金銭管理は自立しているのに、買い物だけはできない・・・認知症の人の、レジ待ちしている人への気遣いということなんですが、イギリスのこの話を前田さんから聞いて、さらに確信へと変わります。

イギリスの「SLOW DAY」

「認知症の人は計算できないのではない、ゆっくり時間があれば買い物はできる」

前田さんはこうお話され、「SLOW DAY」と紹介してました。気になって調べてみると、同じ意味ですが「SLOW SHOPPING」という取組をイギリスのスーパー「セインズベリー」が行っています。

セインズベリーで試験的に行われることとなった「スロー・ショッピング」は、認知症の方や体力のない方、障害のある方を対象としたサービスです。毎週火曜日の午後1時から3時までの間、店頭で従業員が来店客を出迎え、買い物をサポートします。また、買い物途中で疲れてしまっても休めるように、店内にはイスが用意されています。
引用元:http://irorio.jp/daikohkai/20160902/348372/

記事によると、イギリスの認知症の方85万人のうち、10人のうち8人は「買い物が好き」なんだとか。しかし、認知症と診断されたあとは、4人に1人が「買い物をあきらめる」んだそうです。

このスローショッピングを思いついた従業員のお母さんも、認知症。孤独で家に閉じこもりがちだったので、なんとかしたいと思いついたのが、この取組みでした。従業員も5万時間の訓練を受けて、認知症だけでなく、体の不自由な方、自閉症の方などの対応も学ぶそうです。

母の場合ですが、スーパーはいつも同じ店です。なぜかというと、新しい店だとレイアウトが分からないからです。買い物リスト通りに買うことはできるのですが、探すのが面倒なので自由に買いたいと言います。そして、お金を支払うときは、他の人を待たせたくないという意識が働きます。

介護者が思っている以上に、認知症の人はお金の計算ができるし、買い物がしたいんですね。

今日もしれっと、しれっと。

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6 件のコメント

  • スローショッピングいいですよね。当方の母は要支援1ですが(血液のがんで抗がん剤治療のみです)買い物と外出だけ見守り介助につくことになります。
    スーパーは同じ店か系列の同じスーパーで買い物です。理由はレイアウトがわからないからです。その割にはコンビニスイーツの場所だけは変わってもささっと行けるとこが謎です。(コンビニスイーツ好きなので本能で動いてる?)

  • mioさま

    コメントありがとうございます!

    コンビニスイーツを探しあてられるのはいいですね。うちに置き換えるなら漬け物になるかもしれません。

  • そこに思い込みはないか、注意を払いながら接していくことが大切なんですね。

  • おかきさま

    おっしゃるとおりです。わたしも日々思い込みと戦っております。少ない方だと思うのですが、それでもまだまだ思い込みに支配されております。

  • 母が、要介護2の頃まではよく一緒にスーパーに行きました。
    よく一緒に行ったところです。
    同じ物や必要のない物を何度もカートにいれ、その度に気づかれないように私がこっそり元に戻す。
    レジも私の前に並んでもらい、自分のものは自分で払ってもらい、
    私の後ろに人が並ぶと、「遅くなりますので、どうぞ別のレジへ」とお願いしていました。
    スーパーに買い物に行く、という行為は、
    とっくに息子の嫁にかわられてしまった台所の主という自分の役割を思い出すのでしょうか。
    しょっとだけシャンとするのですよね。
    もう特養に入り要介護4になっているのですが、
    足腰シャンとしているし、久し振りにまた一緒に行こうかな~と思いました。

  • わかなまるさま

    とてもステキなコメントでした!わたしも、かごの商品をこっそり戻したりしたなぁ・・と思い出しました。ありがとうございます。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年より悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護中。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)