認知症の祖母と小学5年生の孫の葛藤をみて、思ったこと

小学生 認知症

わたしの妹には、高校生の娘と小学5年生の息子がいます。

この子たちにとっての祖母が、わたしの母になるわけですが、祖母は認知症。診断された4年前は、中学生と小学校低学年だった2人ですが、同じことを何度も言う祖母をみて、不思議に思ったことでしょう。(この記事では、わたしの母を祖母と表記します)

おい
おばあちゃん、また同じこと言って!

最初のころは、こんなこともよく言いましたが、今は何回同じことを言われても、何も言い返しません。妹から、子どもたちに、認知症の対処方法を伝えたからです。それを実行できるなんて、すごい高校生と小学生だなと思います。

一方の母ですが、4年前の孫のコトバを覚えていて(実際は、自分が何度もその話をするので、それで記憶にうっすら残っている気がする)、未だに

祖母
おばあちゃん、同じこと何回も言ってって、孫が言うんですよ~

とヘルパーさんに言います、もう言ってないのに。

そんなできた子どもたちですが、こんなことがありました。

祖母
あんた、いっつもお母さんにくっついてー、赤ちゃんだぁ~

小学5年の男子、わたしもその当時、大人の階段をのぼっていたことを覚えています。赤ちゃんとか言われると、いくらできたおいっ子でも、イラっとくるわけです。赤ちゃんなんかじゃねーぞって。

くっついてるわけではなく、母親が祖母の様子を見に行くから、なんとなく息子娘もついてくるだけなのですが、祖母にはそう見えるようです。

また、何かを教えたいという祖母としての役割や愛情が、時に強く出ることがあります。

祖母
大学に行って、早く結婚して、子ども作りなさい。相手は公務員か銀行員がいいわよ

THE・昭和の考え方を、平成生まれの孫に言う祖母ですが、かなり時代錯誤な感じです。前は場の空気を読むタイプの祖母でしたが、最近はそんなこともなく・・そして繰り返し言います。身近な人に症状は強くでると言いますが、そんな感じです。

わたしにはわかるけど、子どもたちにはつらいかも

結局、できたおいっ子も、最近では

おい
おばあちゃんのところに、行きたくない!

と言い出したそうです。それはしょうがない・・・わたし自身もそろそろ5年目に突入するというのに、未だに葛藤するときもあります。小学5年生には、それはきついと思います。

一方で、この子たちがうらやましいと思うこともあります。それは、わたし自身が40歳まで、ほぼ認知症を意識する環境になかったからです。

今でこそ、街で見かける高齢者の方をみて、「この方、認知症かな?」と思うこともありますし、そういった方に話しかけられたときに、それなりに対応できます。

この子たちは、小さい頃から身近な祖母で認知症を知ることができ、ネガティブ報道に対しても自分の祖母と比較ができるわけです。

人口が減って、高齢化する日本は大変だ!そうかもしれませんが、おいやめいのような認知症を理解する子どもたちが増えるのであれば、それはいい未来じゃない?そう思います。

今年はお年玉を、多くあげよう! おじさんとして、そう決意しました。

昨日、慶應の学生さんと「介護離職」について語り合いました。学内プログラムで、介護離職を減らすための政策提言にむけてリサーチをしているそうで、若い皆さんがこういったところに着目してくれるだけで、おじさんはうれしいです。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか