認知症の人に「わたし、いくつ?」と何回も聞かれたときの変わった対処法

認知症 年齢 何回も 対応

もうすぐ母の誕生日ですが、わたしは帰京するため一緒にお祝いをすることができません。

そんな時は、わたしが盛岡滞在している最終日に誕生日パーティを毎年行っております。今年の誕生日パーティは、しゃぶしゃぶ&ケーキです。実家に母を置いて、在宅療養中の父のマンションへほぼ毎日通っているのですが、父の家に行く「理由」が必要です。それで、こうしました。

くどひろ
緊急棚卸があってさ、しばらく毎日出勤しないとだめになった!

介護離職する前のお店が、「本当に」盛岡にもあるので嘘をつきやすい環境です。こう言ってホワイトボードに、今日の予定を書いて外出し、しゃぶしゃぶのお肉を買って帰ってきました。そしたら、こうなってました。その時のつぶやきが、こちら!

ということで、やむなく誕生日パーティは中止に。翌日と翌々日に分けて、改めて行うことにしました。 なぜ2日に分けたかというと、しゃぶしゃぶ食べたあとのバースデーケーキは年齢的にもつらい・・しょうもない理由で、初日夜にしゃぶしゃぶ、翌日昼にケーキということにしました。

なぜ誕生日パーティを毎年やっているのか?

認知症になる前、母の誕生日パーティはやっていませんでした。仲のいい母娘なら毎年誕生日パーティをするのかもしれませんが、わたしは息子。どうも照れくさくて、どちらかというと苦手です。

ではなぜ誕生日パーティをやっているかというと、このブログでたびたび登場するあのワード「認知症の母の薄れゆく記憶に、くさびを打ち込むため」これです。あと、母は季節感がちょっとずれています。8月が誕生日の母なので、誕生日パーティをやれば、季節感を少し理解するかも・・・そう思って、毎年やっています。

今年はある工夫をバースデーケーキにしてみた!

一度やって大失敗したのは、割と大きいホールケーキを買ったことです。2人でペロリと食べたのはいいのですが、翌日から胃もたれが・・・。もうひとつの失敗が、「ケーキのろうそく」です。今度74歳になる母のろうそくの立て方は、長いろうそくを7本、短いろうそくを4本で74歳という一般的な方法で今まではやってきました。意味は分かってもらえるのですが、記憶にくさびを打ち込むことができませんでした。

この2つの失敗から、今年は改善を試みました。ひとつは年甲斐もなくホールケーキなんぞ、買わない!お前ら親子はショートケーキで十分だ!ということで、ショートケーキを2個買いました。そしてろうそく・・・こちらも認知症の母には分かりづらいということで、こうしました!

はい、これで74歳って一発で分かります!

でもって、ショートケーキなので胃もたれもしません・・完璧すぎる!でも、この「数字ろうそく(ナンバーキャンドル)」1本108円もするので、2本買ったらシュークリームを買えました・・まぁ、それはいいか。それで母に質問しました。

くどひろ
今度、何歳になるか分かる?

74歳!

くどひろ
正解!

アホか!って思うかもしれませんが、いつもの誕生日だと「あれ、ところでわたしは何歳になったのかしら?」というところから始まるので、あの会話のラリーが省略できただけで素晴らしいです。

ろうそくを消し終わったあと、母はテーブルにろうそくを並べたのですが、そしたら「47」と逆に並べてしまって・・・そこでもう1回質問したら、「わたし47歳だっけ?」とかいうので、それはむしろ俺の年齢に近いわ!という、意味不明なラリーも1回ありました。

ナンバーキャンドルに思わぬメリットが!

一通り、小パーティが終わったところで、母がゴソゴソと何やら始めました。居間にある飾り棚を見てみると、このようになっていました。

母、キャンドル、飾っとる!

これで助かったのが、わたしです。うちって、母から年齢を何回も聞かれます。しかも1年中で、凄まじい回数です。これから母に年齢を聞かれたら、こうします。

ひろ、わたしは何歳になるの?

くどひろ
あれ!ほら!飾り棚の下の数字見て!

74なのね、もうあの世行きだわ~

すでに、この会話のラリーを数回やりました。デジタル電波時計、スマカメに次ぐ、わたしの認知症グッズのヒット作生まれました(笑)誕生日のろうそくは「数字ろうそく(ナンバーキャンドル)」。

正直、年齢は覚えられないと思いますが、何度も繰り返される母の「年齢」の質問には、これで対処できそうです。まさか、こんなメリットがあったとは!何度も年齢を聞かれて疲れている介護者の方、いかがですか?

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

ウチの78歳の母は、最近の口癖は「もう78歳だから〜」です。
枕詞のように出てきます。
妹曰く、「来年一月の誕生日過ぎたら79歳になるのかな〜」
母の頭の中で一つ増えるかどうか、密かな楽しみです(笑)

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか