「認知症」 と 「料理」 の関係性について語る

厚生労働省がいうところの認知症の「料理」

厚生労働省のホームページ ?「認知症の症状」 の中に、料理のコメントがあります。

[note]献立を考えたり、料理を平行して進めることはうまくできませんが、だれかが、全体に目を配りつつ、按配をすれば一つひとつの調理の作業は上手にできます。「今日のみそ汁は、大根と油揚げだよね」の一言で油揚げが冷蔵庫にたまることはありません。こういう援助は根気がいるし疲れますが、認知症の人にとっては必要な支援です。こうした手助けをしてくれる人がいれば、その先は自分でできるということがたくさんあります。[/note]

料理が “得意だった” うちの母(70歳)は、厚生労働省が言うとおり、

・献立をうまく考えられない → 「残り物で料理するのが得意」 と取り繕う
・冷蔵庫に残り物がたまる  → ? 「ひとり暮らしだから、節約している」 と取り繕う

という状態です。調理作業は全盛期の7割程度ですが、それでも調理はできます。3割減は?というと、

・炊飯器のふたを、完成5分前に開ける → なぜか待てないんです
・にんじんの皮をむかない、硬い   → 皮に栄養があるとか言ってます
・たまねぎを十分に炒めない      → 涙、涙の朝食になることも(笑)

・鮮度管理ができない         → ずいぶん前の材料で調理してしまう
・レンジに入れたまま忘れる      → 3日前の豆腐が出てきたり・・・
・レパートリー激減           → ?昔はそれはそれは・・なんでも作れました

「料理をする」 という事がうちにとっては “最後の砦” であり、これができなくなったらひとり暮らしもできません。問題点はちょっとずつ増えていますが、本人が料理できるうちはやらせます。

食べる側の私は、この食事が怖いんですよね・・・たまねぎ見るとドキッとするし、人参見ただけで 「ガリッ」 という食感を頭で想像しちゃうしで。自分にストレスがたまってきたなと思ったら、外食に一緒に行くようにしてます。

料理と認知症については、だいたいこんな事が書いてあります。

[note]料理は献立や必要な食材を考えたり、並行していろんな作業を行うため、脳の活性化にもよく、“認知症予防” に役立ちます。[/note]“認知症になってからの” 料理の効果については、情報がかなり少ないです。京都教育大学の 「料理療法」 の文献がありますが、確立されたものではありません。料理も運動も園芸も音楽も日常生活の行為のひとつで、料理だけが特別認知症に効く!というわけではありません。

でも、「料理する」 ことは ”認知症になってから” も、効果はあるはずなんですよね。こう考えてみました。

料理は 「回想法」 のひとつと考える

料理を 「回想法のひとつ」 と考えれば、かなり有効な日常生活の行為なんじゃないの? と。ちなみに「回想法」とは、過去の思い出を誰かに話す事で脳が刺激され、精神状態が安定する。これが認知症のリハビリにつながるというものです。

  【カレーライスが60円?】 「55年ぶりの再会」 が示す認知症の 「回想法」 とは? 【カレーライスが60円?】 「55年ぶりの再会」 が示す認知症の 「回想法」 とは?

レパートリーが豊富だった母なので、料理をひとつの手段として使い、過去の思い出(レパートリー)を思い起こさせるという事をひたすらやってます。

30年前に運動会で食べたいなり寿司を作ってもらったり、グラタンを8年ぶりに作ってもらったりと脳に刺激を加えまくってます。脳に刺激を加えても、やはり出来は7割程度。微妙ないなり寿司ができあがるし、グラタンも何かが違います。

手足が不自由で運動という選択肢がない我が家では、とにかく 「料理」 で脳を鍛えています。薬やサプリよりも効果ある!と信じてやってます。

前回の投稿で、”写真のみ” という文字や説明が一切ないチャレンジングな事をしてみましたが、みなさんどんな想像をされましたか?前回の記事は、今日の記事の前フリでした、実は。ほとんどはイメージ写真ですが、一部うちの写真もあります。

前回記事に説明文を入れてみる

1.冷蔵庫の中に何が残っているかをチェックします。
003

2.小さい頃に何を作ってもらったかな? と「回想法」になりそうな献立を考えます。
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3.近所のスーパーへ自転車で移動します!
サイクリング

4.食材を見ながら、ここでも「回想法」になりそうな献立を考えます。
スーパー

5.エコポイントをつけてもらうため、袋はもらいません!
買い物

6.ここでもまだ献立を考えてます。25年前の献立は、なかなか出てきません!
サイクリング

7.ホワイトボードに何を書こうかな~
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8.ひじきは7年ぶりですが、作れるかな~ なめこと豆腐のみそ汁は2日連続・・・
004

9.ホワイトボードを見て、料理スタート!写真の人は楽しそうですね(うちの母ではない)
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10.あ~、とりあえず終わったぞ!
喜び

11.母:「スプーンがないんだけど~」、 わたし:「皿の下にあるでしょ、ほら!」
親家片1

12.いただきます!
CKL_itadakimasu500

13.料理に関していろいろ言いたいんだけど・・・我慢して部屋でひとり反省会(泣)
へこむ


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか