祖母の7回忌で思い出した介護を始めた頃の失敗

お坊さん

昨日は、祖母の7回忌。

2013年11月4日に亡くなったのですが、思い出すのは田中マー君。

11月3日は楽天が日本一になった日で、すごい試合だなぁと思いながらも、祖母の容態に不安を抱えていたことを、今でも思い出します。

子宮頸がんで余命半年と言われた、当時89歳の認知症の祖母。何も判断できない祖母の代理人として、わたしが成年後見人となり、身上監護や財産管理を一手に引き受けました。

当時、銀行に行っても、セイネンコウケンニン?みたいな反応で、祖母の口座を探るのに数か月かかりました。

今の自分なら、子宮頸がんの手術をしたあと、療養型病床には入れず、自宅に帰ってきてもらう選択をしたはずです。当時は何の知識もなく、緩和ケアがあったほうがいいからというアドバイスのまま、きれいな病院を選択。

おじいちゃん先生が電子カルテの使い方が分からず、看護師さんを呼ぶ姿を見て、不安になったのは言うまでもありません。

そこでベッドから落ち、大腿骨骨折をしてからの祖母の弱るスピードは、本当に早かったです。結局、緩和ケアつきの病院だったのに、緩和ケアをすることもなく、寝たきりの時間ばかりが増え、亡くなってしまいました。

途中これはまずいと思って、何度も退院させようと、老健とかサ高住などソーシャルワーカーさんと話し合ったのですが、結局祖母の体調がついていけず、退院はできませんでした。

お寺で手を合わせながら、当時を思い出しました。祖母の介護の後悔は、父の介護のときに取り返したのですが、もっとうまく介護できていれば、祖母はもう3年くらいは生きたかもしれない・・今でもそう思うし、後悔もします。

でもその後悔の思いが、ブログになり、書籍にもなりました。講演会の話のときにも、気持ちが乗ります。そういう意味では、いい後悔だったのかもしれません。

祖母の7回忌

7回忌は、わたしと妹と母の3人の予定でしたが、妹は子どもの用事が急に入って欠席。わたしと母、和尚さんの7回忌となりました。

お寺に向かう途中、病院に行くものと勘違いしてた母。わたしは父の3回忌で2か月前に来たばかりでしたが、母は5年ぶりのお寺でした。

和尚さんがお経を読んでくださり、途中でお焼香を促されます。母は移動が厳しいので、わたしが歩行介助をして、一緒にお焼香を済ませます。

「南無阿弥陀仏、 南無阿弥陀仏 」

和尚さんと一緒にお念仏を唱える母を横目で見ると、手には数珠。そして爪がキラキラ光っています。

前回のデイサービスで、ネイルケア体験をしたので、爪がキラッキラッだったのです。静寂なお寺の御堂の雰囲気、手には数珠、爪にはマニキュア、真顔の母。

違和感だらけの光景に、なんとか笑いをこらえます。笑っちゃいけない状況だからこそ、何でもないことがおかしく感じるのでしょう。わたしも南無阿弥陀仏に集中し、7回忌は無事終わりました。

その後、塔婆をもって、お墓まで母と移動。この日はうちの後に大きな葬儀があったので、わたしが車で塔婆を運び、お墓も拝みました。

ここでも手足が不自由なので、墓石で体を支えるように母にいったあと、わたしはお花をセットして、ろうそく、お線香に火をつけます。

その後、母を拾って、お墓の前まで歩行介助。母とわたしは腕を組みながらなので、お互い片手で拝みました。

7回忌も終わったので、母とランチに。母はカレーを食べてましたが、その頃にはもう、7回忌もお墓参りもすっかり忘れておりました。

たまには手を合わせて、じっくり当時のことを振り返るのも、いいものですね。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか