認知症の母に今日の予定を伝えなくなった理由

これまでは認知症の母に予定を知らせるために、様々な工夫をしてきました。まず居間に掛けてある月間カレンダーに、1か月分の予定を記入することから始めました。

予定といってもデイサービス、ヘルパーさん、リハビリ、訪問看護など、介護保険サービス関係だけです。母が予定を気にして、わたしに何度も何度も質問してくるので、母の不安を解消しながら、自分のストレスをためないための手段でもありました。

さらに壁のカレンダーだけだと今日が何日か理解できないので、このブログで10年以上にわたって爆売れ中のデジタル電波時計であったり、スマートスピーカーであったりとカレンダーの予定を理解してもらうための補助ツールも、積極的に導入してきました。

スマートスピーカー
しかし最近はカレンダーに予定を全く書かず、スマートスピーカーによる音声通知もすべて止めてしまったのです。

曜日が読めず、賭けに出る行動が増えた

認知症が重度まで進行した母はもはや、カレンダーとデジタル電波時計の日付を見比べることができません。曜日の表示も「水(みず)」「木(き)」と読んでしまい、もはや曜日の意味も成していない状態です。

カレンダーと電波時計を見比べられた時期もありましたが

ただ長年の習慣からか、カレンダーに何かしら予定が書いてあると準備をしないといけないと思うのでしょう。日付や曜日が分かっていないので、母はイチかバチかの勝負をするようになりました。

とにかく毎日デイサービスの準備をしようと、デイでない日も玄関先で送迎車を待ったり、自分で荷物の準備ができないので、デイに持っていく必要のない化粧道具の入ったポーチを玄関に置いたりするようになってしまいました。

また妙な気遣いがあって、ヘルパーさんやデイのスタッフさんが分かるよう玄関や勝手口を少し開けておくのです。もちろん開けなくても、皆さん大丈夫な方々です。認知症が進行しても気遣いができているところはステキだと思っているのですが、盛岡ではクマのニュースも相次いでいます。

開いている入口からクマにでも侵入されたら終わりだなと思って、母へのお知らせは一切しないようになりました。

予定がないと思って寝てしまう日も

お知らせをしなくなってからは、毎朝ソワソワすることがなくなり、一定の効果はあったのかなと思っています。

ただ何も予定がないと理解しているのか、朝起きてしばらくして眠くなったらまた布団に戻る日が出てきています。あまりに動かないのもダメだし、ソワソワするのもダメ。

何が正解かは分かりませんが、しばらくはこの運用でいきたいと思っています。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

うちはカレンダーには自分が病院の予定だけ書き込んで、デイサービスやらなんやらは連絡来たら自分で書いてます。
後は薬と夕飯の確認で夕方電話してます。
(電話が繋がることの確認も兼ねて…)

以前は日記用にノート渡したり、ホワイトボード準備したりしましたが、習慣ないとダメでしたね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか