今さら認知症の母の「夕暮れ症候群」に気づいたかもしれない

認知症の人の夕暮れ症候群については、2015年9月に記事として扱いました。

帰宅願望 夕暮れ症候群
内容は祖母も母も夕暮れ症候群には該当しないというものでしたが、あれから約10年が経って重度まで認知症が進行した今になって、これは夕暮れ症候群かもと思ったのです。

夕暮れ症候群とは?

改めて夕暮れ症候群について、おさらいします。

認知症の人が夕方になると落ち着きがなくなったり、ソワソワしたりする症状です。例えばデイサービスに居たとして、早く家に帰りたいと言って、黙って座っていられずにウロウロするなどの症状があります。

母の夕暮れ症候群とは?

今になって母の夕方を振り返ると、ここ何年もソワソワが止まりません。今さらながら夕暮れ症候群を思い出してから、おそらく母もこれに該当しているんだろうなと思うようになったのです。

母の主な理由は、息子であるわたしにご飯を作らなければならないスイッチが夕方に入るからだと思います。つい最近撮った下の写真はその証拠で、母は全く料理ができませんが、今でも自分は料理がやれる、できると信じて疑いません。

母と息子2人しかいませんが、箸は4人分

でも形にできないので、食器棚から食器や箸を出してはテーブルに並べ、台所には鍋やフライパンを並べます。

冷蔵庫の食材があれば、それもひたすら並べて常温に戻すのですが、こちらは食中毒の可能性もあるので、今は野菜室にすべて食材を入れて、ベビーガードでガードして母が食材を出せないようにしました。

何も対策をしないと、15時30分~18時くらいまで疲れるまで食器を出し続けるので、ホワイトボードに「ごはんはひろが作ります」と毎日書いて、母の前に置かないといけません。3年くらいは続けていると思います。

朝も昼も同じことを繰り返すのですが、やはり夕方が特に落ち着かないのは夕暮れ症候群もあるるのかなと思います。実は食器棚の食器の数を少しずつ減らしていて、必要最小限の食器にしている最中です。

ホワイトボードで症状を落ち着かせる

食事の準備のほかに、朝と夕方の違いが分からないので、夕方にデイサービスに行く準備をしようとします。具体的には夕方でこれから寝るだけなので着替えなくていいのに、着替えようとします。あとは化粧をしようとしたり、玄関に行ってデイの送迎車を待ったりもします。

自分の家に居るのに「家に帰りたい」とはあまり言いませんが、たまに言うこともあります。

こうしたムダな行動すべてが筋力アップにつながるし、リハビリにもなると思って、黙って見ている日もありますが、あまりに何度も繰り返すときは止めます。

夕暮れ症候群を活用した筋力トレーニングとも言えますが、最も母を落ち着かせる効果があるのは10年以上使っているホワイトボードかもしれません。漢字が読めないのでひらがなで書くようにしていますが、まさか10年以上も使うことになるとは思ってもいませんでした。

最近はこちらのホワイトボードを使い倒していて、3回新しいのに買い替えました。1日に何度も利用するので、1年くらいで新しいものにしています。100均でも売っていますが、自分で背面マグネットの位置をカスタマイズできるので、こちらがうちはベストです。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか