遠距離介護で会社を退職して生活は成り立つの?のはなし

わたしがサラリーマンを辞めたのが、2013年3月中旬です。4月末まではサラリーマンでいう所の給与をもらっていたので、この5月からはいわゆる毎月の給与というのが入ってきません。この時点で、ゾーッとする方もいると思います。

こういう遠距離介護生活をしていると、いろんな人に聞かれたり、言われたりするんですが、

『これからどうやって生活していくの?』  『経済的には大丈夫なの?』  『40歳で会社辞めちゃったら、再就職は厳しいんじゃないの?』

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み、みなさま・・・ご、ご心配ありがとうございます・・・、当の本人がなんとかなると思っているので、きっとなんとかなるんですが、今のところどんな感じで遠距離介護生活をしているか、今日は書いてみます。支出面で大きくは祖母(89歳)の入院代、母(69歳)の認知症治療代、介護保険利用、そして遠距離介護で負担の大きい交通費です。一方で収入はというと、サラリーマンでいう月給がなくなったわけで・・・

遠距離介護にかかる支出

1.祖母の入院代、病衣代など
成年後見人になっているので、これら費用はすべて祖母のお金を使っています。ティッシュやオムツ、おかしに至るまで、祖母のものはすべて祖母のお金を使っているため、わたしは一切負担していません。成年後見人になる前はすべてわたしが立て替えていたので、正直負担は大きかったです。今も基本は一旦立て替えて、あとで祖母の口座から成年後見人として引き出すという感じです。

結果、祖母にかかっている介護費用は、私の支出は ”ゼロ” ということになります。

2.遠距離介護にかかる交通費
どうやって月10万円の交通費を削減したか? という記事でも書きましたが、新幹線代もひどい月は月10万円を超える出費でした。それを節約すべく深夜バスも使ったのですが、体力的にきつい・・・・。で、この費用は?というと、これも祖母のお金を使っています。

週2回病院に顔を出すのと、認知症の母と祖母の面会をしてもらう、そして成年後見人としてのお仕事で実家へ帰るので、これらも費用として裁判所から認めてもらっています。意外と市町村から届く書類っていろいろあるんですよねー、一番多いのは医療費が戻ってくることです。それらを成年後見人として処理をします。で母の認知症についても、同じ帰省中に病院に連れて行きます。ということで、こちらもわたしの交通費負担は今はゼロになります。

3.介護のために購入した車の費用、税金、ガソリン代などの維持費
地方都市は車がないとやっていけません。試しにバス移動で病院に行ったら、時間が通常の4倍。ということで、1年間限定の軽自動車リースを契約して、今はそれに乗っています。かなり格安で新車で月12600円だったのですが、これも費用として裁判所に認めてもらっています。自動車税も込みの金額なので、この負担もありません。

ガソリンもほとんど祖母の病院までの使用なので、こちらもわたしの負担は ”ゼロ” です。

車は実は購入しようと思ったのですが、購入直前の商談でまさかの金額アップ提示。びっくりしてしまって買う気がなくなってしまったので、最終手段としてリースを選択しました。結果これがよくって、コストパフォーマンスが最もよい車の利用方法ということで、裁判所に認めてもらいました。

成年後見人になって最初はいろいろと自己負担していたのですが、裁判所に通いながらどこまで費用として認めてもらえるかを都度聞いていった感じです。ここまでいろいろ祖母に負担してもらってますが、年金収入と合わせると月の収支はほぼプラスマイナスゼロです。いろいろ費用負担をお願いしてしまっている事に罪悪感を覚えたことも・・・ でも、会社を辞めたり、介護している事の方が大変!と言われ、たしかにそうだよなぁ~と。

4.母の認知症治療
母の方は成年後見人でないですし、祖母のお金を母に使う事は禁止されているので、これは母から以前もらったお金を使っています。『なにかあったらこれを使いなさい』 と正常な時に母に言われたお金を、専用口座に残しておいたのをつい最近思い出しました。ということで、認知症治療にかかっている費用については、その口座から使っているため、わたしの負担は今のところゼロです。

サラリーマンを辞めたあとの収入

1.ブログやホームページの運営で、一定の収入が得られている
たいした収入ではないんですが、ブログやホームページを運営しながら広告を掲載、その収入で今は生活しています。(このブログもそうです)個人事業主です。ぶっちゃけサラリーマンの方が収入は断然いいです。が、遠距離介護なわたし。しかも、子宮頸がんの祖母の余命を考えると、今はサラリーマンで時間拘束されるほうが苦痛です。収入はかなり減りましたが、それでもこの収入があれば、しばらくは大丈夫です。

2.貯金
なぜ孫の私が40歳で遠距離介護をすることになったのか? という記事にも書きましたが、わたしは遠距離介護がこれが2回目。前回学習したのは貯金の大切さ。こんな日が来ることを予想して貯めた貯金で、今生活は成り立ってますが、まだ取り崩してないです。

3.投資
これから再開しようかな?と思っているのが、株式や投資信託の運用です。総資産の何%という枠の中で、少しずつ増やせればなぁ・・・と思います。

本当はバイトもしようかな・・と思いました。40歳でバイト・・・わたしはむしろバイトしたいくらいなんですが、地方都市の時給を見ると愕然とします。1時間700円代とかですからね・・・時間を有効に活用するには、わたしだと1.とか3.の方がいいかなと思い、求人雑誌は見たのですがやってません。

介護する側はどうしても介護される側の事情、都合にかき回されてしまうことって多いじゃないですか?これがサラリーマンだとホント大変で、会議中とか大事なミーティングの最中なんかに電話がかかってきます。認知症の母なのでかけた事すら忘れて、また電話。。何度もかかってくるから、緊急事態かと思うと大したことでなかったり・・・

週5日、1日8時間勤務で拘束されると、何かあった時に対応ができません。祖母が大腿骨骨折をした時も、たまたま有給消化中でわたしが空いていたから、よかったものの仕事していたら、誰も対応できなかったと思います。病院も役所もそうですが、基本平日の昼に電話してきますからね。

用件をスルーできるような内容じゃないし、ましてや余命宣告されていて、第一担当者(連絡先の優先順位)がわたしなので、何かあったらまずわたしなので、携帯は常に持ち歩いて出られるようにしています。何年この生活が続くのか、そして続けられるのか?という不安はありますが、それでも今はこの遠距離介護が最優先で、それに専念できる環境が整っているだけありがたい!って思います。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか