認知症の母と食べる朝食の食パンの扱いの話

認知症介護中の直近5、6年はずっと同じ朝食で、目玉焼きともやし炒めと食パンです。認知症が進行しても朝食は作れるようにという思いでやってきましたが、今となってはもう、これしか作れない状態になっています。

朝食作りも見守りが必要で、例えば母はサラダ油を何度も入れるし、塩を入れたのにまた塩を入れるし、もやし炒めが生でも完成したと言いますし、料理が得意な頃のアレンジ癖で、砂糖もしょうゆも何でも入れようとするので目が離せません。

でも寝室にあるポータブルトイレの掃除とか、布団を上げる朝の仕事もあるので、もやしを炒めてもらっている間にトイレ掃除をして、すぐ戻ってくるなんて感じのバタバタの朝になっています。

食パンの食べ方を忘れたかもしれない

母と朝食を一緒に食べるときも、変化がありました。わたしのほうをチラチラ見る回数が増えて、最初は意味がよく分からなかったのですが理由がすぐに分かりました。

母は食パンをどうやって食べたらいいか、分からない日があるようです。わたしがパンにジャムを塗っている様子を確認して、母もマネするようにパンにジャムを塗るのです。

たまたまわたしが席に着くのが遅くなって、母のほうが先に食パンを食べることになったときに、明らかに戸惑っていました。食パンにジャムを付けて食べる行動自体を忘れているのと、ジャムの役割も忘れてしまっているように思います。

わたしをチラチラ見る日はまだいいのですが、自信満々にストローが刺さったパックジュースの中身をパンにかけて食べようとしたときはさすがに「ちょっと待って!」と言ってしまいました。他にも何もつけずに、ただ食パンを食べる日もあります。

いずれも命に関わることではないし、自由に食べてもらってもいいと思う一方で、わたしが帰省している間くらいは、一般的な食べ方で食べてもらおうという思いもあるので、最近はジャムを塗って食べる姿をお手本として見せてます。

もちろん何事もなかったかのように、パンにジャムをつけてしれっと朝食を食べる日もあるんですけど、明らかに戸惑う日が多くなっています。

以前はわたしが帰京する前にジャムを冷蔵庫に入れておけば、母が朝食で使うので問題ありませんでした。でも今は帰京前にジャムは使い切るようにしてます。ジャムをどう使っていいか分からずに、下手すると直接食べてしまう可能性もありますし。それでも問題はないんですけど。

帰京前は調理パンや菓子パンを買って、何も考えずに口に運べるものにしています。

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今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

まさにそれ 我が家の母は ソーメンをもそもそ食べて つゆをごっくん と 飲んでました

刺し身を [生]……
アクエリアス が [花瓶]に……

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか