認知症介護中に起こるドタバタに慣れる怖さ

最近、矢継ぎ早に認知症の母の行動を制限してきました。その制限に対する葛藤に関しては、この記事の最後にあるvoicyで、半開きの口のまましゃべってます。今日の記事では、別の視点の思いを吐露してみようと思います。

行動制限の先にあった平穏

2023年2月の記事で、今後のわが家の介護方針はこうするよ!って宣言しました。思っていた以上に多くの方に読んで頂きました。

その後、立て続けに冷蔵庫、食器用スポンジ、タオル、食事の工夫など、母の行動に制限をかけました。
その結果、何が起きたと思いますか? わたしの心に平穏が訪れたのです。

ここ数年のわたしの言動は、どんどん反射的になっていて「ダメー!」とか「ちょっとー!」とか、母の行動を止めてばかりでした。そりゃ汚い台拭きで顔を拭こうとしたら声も出るし、食器用洗剤で顔を洗おうとしたら、反射的に止めたくなります。

ただ遠距離介護なので限界があり、わたしが居ないときに母は日常的に台拭きで顔を拭いている可能性もありますし、食器用洗剤で顔を洗っているかもしれません。

食器用洗剤は誤飲も経験したので対策し、ポンプ式のボトルに替えたり、万が一誤飲したとしても比較的安全なものに替えたわけですが、ひとりでも安全な生活環境を求めた結果、いろいろな制限が必要になりました。

そのおかげでわたしが常に目を光らせる必要がなくなり、家の中で走って止めに行くこともなく、本当に静かになりました。わたしに訪れた突然の平穏とその先にあった寂しさ。この気持ちの揺れ動きは、介護におけるあの感覚に似ていると思ったのです。

介護のドタバタに慣れる怖さ

あの感覚とは、在宅介護をめいっぱい頑張ってきた介護者が限界に達して、介護施設に親を預ける決断をして、実際に預けたあとの感覚です。

急に家が静かになったときの虚脱感と似ているのだろうと。在宅介護で忙しい毎日だったのに、静かになった家に寂しさを感じ、物足りなさと申し訳ない気持ちが襲ってくる。あの感覚と同じなんだろうなと思ったのです。

わたしも知らないうちに、家での介護のドタバタが当たり前になっていて、慣れていたのかもしれません。でもこの慣れはよくない慣れで、本来はそんなに目を光らせる必要も、反射的に動く必要もないわけで、それに対して寂しいとか物足りないとか感じなくていいのです。

24時間365日見守れるわけはないし、元々母には生きてさえいてくれればいいと思って介護してきたはずなのに、気づいたら反射的に反応するのが当たり前になっていました。

制限→葛藤→平穏→虚無

虚無から鬱へ移行する介護者もいますが、わたしはある意味正常に戻れたような気がします。

気持ちの自己分析ができたので、あとはしれっと在宅介護を続けていくだけです。制限のかけ過ぎは更なる認知症の進行を招きます。といってもそれなりに進行してしまっているので微妙なのですが、自立を奪い過ぎずにバランスを見ながらちょうどいいところを探っていきます。

音声配信voicyの最新回は、認知症介護で葛藤している相手の正体を口半開きで語ってます↓

今日もしれっと、しれっと。


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3件のコメント

お久しぶり・・です・・『定期的?』に拝見してます・・
『古賀としお』と言います・・

『私』・・基本的に『人嫌い』の『孤独大好き人間』と思ってました・・
不謹慎ですが・・たとえ『母の介護が終了』しても・・多分・・
『寂しさ』『虚無』とは『無縁』だろうという『自信(?)』がありました・・

しかし・・先日『事件』がありました・・・
私の母・・突如『警察・保健所』に『強制的』に『精神病院』に『措置入院』
させられてしまいました・・(汗)(汗)・・

(参考)
https://blog.goo.ne.jp/marl5551154ne/e/ed698758e0d8d9ea05a9bfba367b43de

結果・・『だぁ〜れもいない母宅』完成・・・

『いつはずの場所』に『いるはずの人』がいなくなる・・・
この『寂しさ』『虚無感(??)』を実感中です・・・

多分・・まだ・・『気持ちの整理』ができてないせいでしょうが・・・
『私の心』が・・こんなにも『貧弱』だったのをあらためて気づかされ
てます・・・

現在・・『母の介護・終了』した場合・・『心の平穏』保てる自信・・
持てなくなりました・・・

情けない限り・・です・・・(涙)(涙)(涙)・・・

古賀としおさま

わたしのブログには成年後見制度関連で、同じケースのコメントを何件か頂きました。
確かに相手は県知事ですよね。すでに調べていらっしゃるとは思いますが、ご自身で動くよりも弁護士会に医療保護入院の退院請求について相談したほうがスムーズに進むかもしれません。

お返事・・どうも・・・
やはり・・弁護士・・ですかぁ〜〜ですよねぇ〜〜・・・
[個人の訴え=軽視]しますもんねぇ〜〜(涙)(涙)(涙)・・

介護あるある・・・周りからの迷惑アドバイス・・・

(A)[成年後見人制度ってのがあるから、ぜひ利用しなさい!]
(B)[なんで積極的に認知症薬飲ませてあげないの?]
(C)[介護施設に早く入所させなさい!]

周りの人たちから言われる[適当・無責任な言葉]・・・

(回答)
(A)=ろくでもないから
(B)=過去の病歴無視・異常事態への緊急対処なし・増量規定廃止なにそれ?
   状態悪化を全て認知症進行のせいにする・・
   コレが田舎( A 市 )の医者の常識だから・・
(C)=検討中・どこでもいいわけじゃない・当たり外れ多い・ドラッグロック当たり前

いちいち[無関係者・他人]に[詳しい病歴・介護状況]など教えたくない
適当な[にわか知識]への[反論]が面倒・・・

[介護のグチ・相談]・・滅多な人にはできませんよね・・・
ご返答・・ありがとうございます・・・

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか