介護者としてメディア取材でよくボツになるワケ

介護取材

ブログをやっているとありがたいことに、新聞・雑誌・テレビなどメディア取材を受けることがあります。

ただ、わたしの場合はボツ率が高くて、8割以上。なんでそんなことになっているか・・・メディアが求めている介護者像を想像して、文章にしてみました。

「40kaigo(仮名)は2013年、祖母の子宮頸がんに加え、母の認知症が発覚した。他に頼るあてもない彼は、結局介護離職へと追い込まれた。介護生活3年目に突入した今も彼は正社員というポジションに戻ることはできず、フリーランスという不安定な道を歩いている。

介護離職は年間10万人以上となり、超高齢化社会の新たな問題となっている。決して他人事ではない、介護離職。あなたならどう対処しますか?」

たぶんこう書きたいんだろうな、こう映像化したいんだろうなって。メディアの求める介護者像も、介護に対する一般的なイメージも概ね、この文章に集約されると思ってます。

自分自身の書いた文章にツッコミを入れるならば、

・介護離職に追い込まれたとか言うな!
・正社員のポジションとか、そういうの興味ないわ!
・介護のイメージを暗くすな!

こうなります(笑)幸いこういった文章が世に出たことはなく、ブログのみが広がっております。メールや電話でやりとりをして、最終的にボツとなると時間がもったいないので、最近はこうやって回避してます。

「求める方向が違っていることが多いので最初にお伝えしますと、そんなに悲観的な介護者ではないです」

これを書いておくと、ボツの場合は割と最初の段階でなかったことになるので、わたしもラクです。記事になる場合というのは、こういうキャラクターを受け入れてくださった場合です。

ボツになりやすい理由

介護ブログでもわたしのようなマジメなのかおふざけなのか分からないタッチの人もいれば、常に怒っている方、愚痴メインの方もいらっしゃいます。人それぞれでいいと思うんです。

ただメディアに求められているのは、最初の文章のタッチだな・・・というのは、取材依頼から感じることです。

事実、40kaigoさんのようなケースは少数派で、あなたのようには振舞えないと読者から反発を受けるかも・・・と言われたこともあります。ポジティブな話が多いけど、実際知りたいのはネガティブな話と言われたこともあります。

「思考は現実化する」 という本のタイトルがあるとおり、わたしは割とこれを信じてます。ネガティブに考えれば、ネガティブな結果になると。ムリにポジティブになる必要はないけど、割とプラス思考で楽観的な方です。

ブログができるまでに、ネタ探し → 下書き → 修正 → 完成 と数日かかります。ネタ段階でもし怒ってたら、数日間怒り続けることになり、必要以上に怒りの時間を増やす結果になってしまいます。

怒っても、イヤな気持ちになっても、これをどう表現しようかな・・・感情をぶつけるだけだとつまらないから、情報を付加してみよう!と考えることでストレス解消になるし、それが読者の皆様にもプラスになればこれぞwin-winです。

こういう暗いトーンで書き始めたら本気で追い込まれたときであり、わたしの場合は介護失敗を意味してます。絶対にひとりで抱えたくないし、プロには徹底的に頼ります。自分自身の生活も、きちんと保ちたい!

こういう考え方のギャップがボツになるワケなんですが、下手に載っちゃうよりはボツでいいんです、ムムッ。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

7件のコメント

いつも拝読させていただいております。
おっしゃるとおりだと思います。

いつも拝読させていただいております。
今日のブログ内容、おっしゃるとおりだと思います。

ふくいさま

いつもコメントありがとうございます!

ありがとうございます!

よくわかります!
昔からそうですが、メディアにはお涙ちょうだいのほうが受けるんですよね。
あといかにも「健気」な頑張ってますな感じのが(笑)。
でも、「介護はしんどい」「つらい」っていう悲惨なイメージばかり宣伝されたら、介護業界の人手不足は進むばかりじゃないかと思います。

だださま

ホントそうですよね。

健気・・・これもそうですね。なに、ブログ書いて介護してんの、変わってるね~ って面白半分で取材してもらって、全然いいんですけどね(笑)わたしは介護がきっかけで、書くことが好きだという事が分かりました。40年以上気づかなかったから、この生活に感謝している面もあるんです・・・という話も、あまりいらないみたいです。

時々拝見するたびにニヤリとさせていただいてます。私も少しの期間介護を経験しましたが知識と知恵とプライドのあるけど、それらがかみ合っていない子供のようでした。そう言う意味で40kaigoさんの対応はとても上手ですね。

メディアの話ですが今も昔も苦労話や不安を煽る記事か好きですよね、読む側、見る側の需要が高いのでしょうが。。
このブログに時々ボツになったりお断りしている記事を読むたびに感じてるのですが、記事を書く人を含め世間の多数が介護を経験してないからなのではないかと。
だって辛いとか悲しいとかよりもどう介護するかや介護する側の気持ちの持ち方の記事のほうがだいじですよね。いずれ時代が追いついてきますのでその時におもいっきり記事を書いて下さい。

せきぐさま

コメントありがとうございます!

ニヤリとして頂けるのは、わたしの狙い通りでございます(笑)

>だって辛いとか悲しいとかよりもどう介護するかや介護する側の気持ちの持ち方の記事のほうがだいじですよね。

うっ・・・本質を鋭くえぐるコメント、まったくその通りでございます。わたしがブログを書くときに大切にしていることです。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか