アルツハイマーは70歳で発症することが多く、その25年前から進行する

NHKスペシャル「アルツハイマー病をくい止めろ!」の内容を、記事で補足していきます!

DIAN研究のはなし

以前、「わたしも認知症、遺伝しちゃうんじゃないの?」が現実になった 「絶望の村」 のはなし という記事を書きました。ざっくり言うと、

「コロンビア北西部のアンティオキア地方にあるヤルマル村では、多くの村人が若年性認知症の家族を抱え、絶望的な気持ちで生きている。驚くことに、この村の住民の半数が40代で「早期アルツハイマー型認知症」 を発症し、60代を前に亡くなっているのだ。(一部略)では、この村に何世代もわたって患者が多いのはなぜか。」

「その理由は、遺伝する確率が高い病であることに加え、山間の僻地であるこの地方では血縁的に近い男女が結婚を繰り返してきたことだと考えられている。片親が早期アルツハイマー型認知症の場合、その子供が同じ病を発症する確率は50%、両親とも患っていた場合は75%にも上る。そのため、両親ともこの病を発症した若者のなかには将来、子供を持たない事を決意する人もいる。」

この村に注目しているのがアメリカで、新薬の治験を行っているとクーリエ・ジャポン(2012年12月号)にあります。

Nスペでは、ある一族の孫のブライアンさん(41歳)が出てきます。この一族も極めて高い確率で、ある年齢になるとアルツハイマーを発症するということで、そこに目をつけて様々な年齢で脳を調べ、アミロイドβが25年も前から溜まり始め、それがアルツハイマーを引き起こす ことが分かったのがDIAN研究です。

DIAN研究とこのコロンビアの話がとても似ていたので、最初は同じことかな?と思いました。どちらの話も共通しているのは、「遺伝性の強い地域や一族」でアルツハイマー病を研究し、新薬の開発に着手しているという点です。ここまで読むと、

「アルツハイマー型認知症は遺伝しやすいの?」

と考えてしまいますが、そんなことはありません。若年性の認知症は遺伝の可能性がありますが、他は遺伝はしないそうです。

海馬の委縮を防ぐ運動のはなし

同じNHKのEテレで放映中の 「チョイス@病気になったとき」という番組で以前、「認知症をくい止めろ」 という回がありました。

認知症発症直前のMCI(軽度認知障害)の方に対して、下記のような運動をすると効果的というお話で、今回のNスペと内容がほぼ近いのですが、チョイスの方がより具体的なので転載します。

1.適度な負荷をかけての運動
「10~15分運動をして軽く息が弾む程度」の強さの運動を行います。1日30分以上、週3日以上行うのが効果的です。

2.脳を使う作業を同時に行う
計算をしながら歩く、しりとりをしながら踏み台昇降をする・・・など「脳を使う作業」と「運動」を同時に行います。MCIになると、2つの作業を同時並行して行う能力が衰えやすいため重点的に鍛えます

番組を見て思ったこと

この番組を見た方はおそらく60代以降の方や、現在認知症介護をしている方でしょう。みなさんこう思ったんじゃないでしょうか?

「新薬は進んでいるけど、当面はアルツハイマーは食い止められないな」

「新薬」の話ってよくニュースになりますが、結局実現するまでには相当な年月がかかります。さらに番組では、こうも言ってました。

「過去20年間で101もの薬が、アルツハイマー治療の開発に失敗した」

番組で紹介された開発中の薬 「LMTX」 も、 ”早くて2年後に結果が出ます” と言ってましたが、これだって失敗に終わる可能性もありますし、現在、介護中の人から言わせれば、「2年も先かよっ!」 ってツッコミたくなります。

「がんが治る」 とか 「ハゲが治る」 って昔から言われているけど、いつまで経っても実現しない・・・あの ”あきらめ感” に近いです。アメリカで進んでいても、日本で承認されるのにさらに時間がかかる という事も周知の事実であり、実現は相当先だなと思いました。

そして、こうも思いました。

「この番組を見るべきは、40代の人じゃないの?」

アルツハイマーは70歳で発症することが多く、その25年前から進行すると番組で紹介されました。ということは 45歳の時から、少しずつ進行していくわけで、その世代が知らないと、意味ないんじゃない?って。

さすがに25年後にはアルツハイマーの新薬はあるかもしれませんが、ない可能性も十分あります。となると、この

「40代のみなさん、25年前からアルツハイマーは発症するんだよ!」

ということを、もっと知ってもらって対策をうつ事が、今後の認知症患者の激増を防ぐことにもなります。認知症の原因は、高齢化以外にも、

「食生活の欧米化、特に動物性脂肪の摂取が大きく影響している」

という事実、睡眠の質を上げることも重要だそうです。わたしも40代ですが、祖母や母が認知症にならなければ、こんなに認知症に興味を持つことはなかったです。たまたまブログのタイトルも年齢を意識したものなので、わたしができる事はブログで発信し続けることですね。

わたしの認知症予防法は、番組でもあった「運動」と、認知症の母が服用中の米ぬかサプリメント、「フェルガード」 をたまに頂いてます。認知症の母が受診している病院の医師、看護師さんも服用してますが、NHKでは紹介されないでしょうね・・・

NHKスペシャルの認知症特集は面白いので、今後もウォッチしていきます。主婦と生活社(NHKスペシャル取材班 著)より、この番組が本になります。Am

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前回のNHKスペシャルの認知症の記事も、合わせてお読みください↓
【認知症】NHKスペシャル「母と息子3000日の介護記録」 見ていて思った5つの共通点とは?


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか