4時から朝食の準備を始める認知症の母とわたしの対応

ホワイトボード

認知症の母は、2人分の朝食の準備をします。

準備を始めるきっかけは、冷蔵庫にマグネットで貼ってあるホワイトボード。

わたしが前日夜に書いた「ひろは2階にいます」の文字を見て、息子が2階にいることを思い出し、朝食の用意をしなきゃスイッチがONになります。(記事タイトル下の写真が現物)

台所のテーブルの上には、朝食で使うお皿が2枚並んでいます。これも「2つ」並べておくことで、息子が東京から帰ってきているサインになるため、いつも前日の夜に準備しています。

皿を2枚並べて、息子の帰省を母に知らせる

こうした準備をもし忘れてしまうと、母は普通に自分の分だけ朝食を作って食べ、わたしが起きて2階から降りてきた頃には「あれ、あんたいたの?」となります。

息子の起床を待てない4時の朝食

最近の母は、「待つ」という行為が苦手になりつつあります。

母がホワイトボードを見た瞬間から、朝食を作り始めます。6時に起きてくれればいいのですが、たまに4時台に起きて、朝食を作ることもあります。

当然、わたしが起きて朝食を食べる頃には、つめた~い目玉焼き、もやし炒めになっています。

夏だからつめたくていいや~ とはならないので、1階の台所がガタガタ言い出したら、わたしは布団から手を伸ばし、スマホのスマカメをON。母の朝食の様子をカメラで確認したら、眠い目をこすりながら1階へ下ります。

わたしは元々超朝型人間です。会社員時代は働き過ぎて、「休日の寝過ぎはもったいない病」にかかってからというもの、20代後半から6時起きは割と普通です。とはいえ、さすがに4時起きはキツイのですが、母の超早い朝食につきあうようにしています。

特にデイサービスの日は、遅れてはいけないという思いになるのか、朝食の時間が早くなります。デイの日はわたしも送り出しをする必要があるのでそのまま起きてますが、何もない日は朝食を食べたあと、また寝ます。

しあわせな二度寝タイム

母は洗い物が雑なので、わたしが食器やフライパンを洗ってから、2階で二度寝タイムに突入します。

朝食をレンジでチンすれば、早起きしなくていいと思われるかもしれませんが、雑な洗い物が食器棚に蔓延してしまう恐れもあって、一緒に食べてしまったほうがわたしの仕事が減るのです。

母の超早い朝食につきあったご褒美として、9時くらいまで寝ます。幸せな二度寝ができるといいのですが、こんな日もあります。

今デイサービスから電話があって、迎えに行くから準備しなさいって。

朝4時や5時に、デイサービスから電話が来るはずがありません。

母の妄想スイッチは、わたしが怒ったら最後なので、冷静に固定電話の着信履歴を母に見せ、「ほら、電話来てないでしょ」と言うと、「あら、おかしいわね。電話が鳴った気がしたんだけど」となります。

このように大声で1階から呼ばれ、二度寝タイムを邪魔されることはよくあるので、二度寝していても、また起こされるのでは?という気持ちにもなります。それでも、今のところは夜中に起こされることはほぼないので、夜に寝られるだけありがたいという思いです。

ちなみにこのブログの下書きは、気持ちよく二度寝していたのに、叩き起こされてしまったときに書いたものです。起こされた直後はイラっとしましたが、文章にしたことで穏やかになり、夢の中へと戻りました。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか