5月7日の最終日に、東京都の無料PCR検査に行ってきました。
翌日にメールで結果が来るのですが、この1か月は最もマスクを外した生活を送っておりました。といってもスポーツジムで走るとき、たまに外食するときぐらいでしたが、それでも結果が出るまでは緊張します。結果は陰性、そして今岩手の実家におります。
今回の遠距離介護はいつもと違って、緊張感がありました。
電話したら敬語で対応された
GW中にデイサービスの送迎車が来る2時間も前から、母が外で待とうとする姿が見守りカメラに映りました。これは止めねば!と思ったわたしは、東京から岩手の固定電話に連絡しました。
あ、もしもし。ヘルパーさんが来るまでまだ2時間もあるから、居間でテレビでも見て待っててくれる?
はい、あ、そうですか。はい分かりました、そうしますね。
あれ? 息子相手に敬語を使ってます。いつもの母なら、
あれ、あんた今どこに居るの? 東京なの? 会社はどうしたの?
電話を受けてまず、わたしの居場所を確認します。たまに実家の2階に居ると勘違いするので、こんな反応になります。でも今回は明らかに誰と話しているか、理解してません。とりあえず知らない人なので、敬語で話しておこうみたいな感じです。
ちなみに固定電話の呼び出し音は、「ひろさんから電話です」と名前で鳴ります。その時点で息子と理解するはずですが、今回は全く理解してません。
あなたの息子ですよ、分かる? まだ外に出ないで待っててね。
はい分かりました、はい失礼しますー。
まだ会話は終わってないのに、電話を切られてしまいました。その次に電話したときも敬語で対応されてしまいました。介護で10年一緒に居ましたが、とうとう忘れ去られる日が来たか?
息子を忘れる日はいずれやってくる
認知症のテストである長谷川式認知症スケールで6点の母です、重度の認知症です。いつ息子の存在を忘れてもおかしくないですし、これまでも目の前に居るのに忘れることもありました。
とはいえ実際に会ったら対応が違うかもと思って、覚悟しながら実家で母のデイサービスのお迎えをしたところ、
あら、あんた。いつ帰ってきたの?
どうやら首の皮一枚のところで、つながったようです。
亡くなった同じレベルの認知症の祖母は、最期まで孫のわたしを覚えていました。祖母より10年も早く発症している母なので最期までは厳しいと思ってますし、Xデーはいずれくるといつも覚悟してます。そしてその時が来ても、しれっと介護するしかないとも思ってます。
とりあえず今回は覚えていたようでホッとしましたが、覚悟していても若干心がざわつく感覚がありましたね。これを何回か繰り返すうちに、だんだん慣れていくと思ってます。
音声配信voicyの最新回は、ケアマネさんの仕事の範囲について語ってます↓
今日もしれっと、しれっと。
うちの母は10年ぐらい前から敬語で話す事が多くなりましたが、私がクシャミなどすると「○○、風邪じゃないの?」みたいに一瞬で母親口調に戻ります。
息子の名前が出てこない事もあるようですが、自らそんな時に備えて私の名前を書いたメモ(紙切れ)をパジャマのポケットや枕の下などにたくさん忍ばせているようですw
見守りカメラさま
お母さまの努力のメモ、切なくもいい話だと思ってしまいました。うちはトイレットペーパーがポケットや枕の下から出てきます。
いつも勉強させてもらっています。
ちょうど、同じタイミングで我が夫(アルツハイマー診断から11年)も、今週「え!夫婦なの!」と。
妻を名前で○○ちゃんと呼んでいたので、「名字は?」と尋ねたら「分からない」と。
「あなたと同じ名字だよ。夫婦だから」の会話での「え?」にビックリ仰天しました。
本当に、いつか来ると十分分かっていても。
二日ほど、メソメソして やっと立ち直りました。
何度も繰り返して、慣れていくのでしょうね。
皆さん、経験されてらっしゃることなのに自分の落ち込みように、驚きました。
日々、勉強です。
これからも、よろしくお願いいたします。
マルコさま
わたしの妹のことを母はよく忘れます。妹も最初はショックだったと言ってましたが、今は慣れてしまったようです。
介護者である自分の身を守るためには、いつまでも落ち込んでいられないってのもありますしね。時間がいずれ解決するし慣れるしかないと思いながら、いつも介護しています!
初めてコメントします。
お母様の敬語にはドキドキしましたよね。
思い出して下さって、本当に良かったです。
いつ忘れても仕方ない、、とは思いつつも、
自分の事を忘れないで欲しい。と心の底では思ってしまいます。私の母も認知症です。
私は現在42歳で大阪住まい、
81歳の母は福岡で一人暮らし、
アルツハイマーと脳血管性認知症を患っています。要介護1です。
去年、母の認知症が判明し、
毎日、闇の中を彷徨うような気持ちでどうしたら良いのかと過ごしていた頃、
くどひろさんをネットで見つけ、
すぐにくどひろさんを真似させていただき、
防犯カメラやアレクサ、nature Remoなど設置しました。
遠距離介護での不安がかなり解消されました。本当にありがとうございました。
くどひろさんが導いて下さったので、
母とのつながりも増え、
夏のエアコンつけない問題など、
かなり解決する事ができました。
私は転勤族の嫁で、7歳5歳の子どもがおり、
まだまだ手がかかるので
なかなか実家には帰れずに母をひとりぼっちにしてしまい、後悔ばかりの日々なんですが、、、
1日でも長く、できれば安定した日々を過ごしていけますように。
ずっとずっと応援しています。
私も頑張ります。
ISさま
わたしを見つけて頂き、ありがとうございます!
そして様々なツールを駆使されて、遠距離介護の不安を解消されたとのこと。よかったです。
お母さまがひとりぼっちだとしても、遠くに居て気に掛けているだけで十分役割を果たしていると思いますよ。あまり頑張りすぎずにでも頭はめいっぱい使って工夫して、ラクな介護を目指せるといいですね。
くどひろさん、お久しぶりです。
入居の母は時々不定愁訴によりネガティブな発言はあるものの、スタッフの対応のおかげで乗り越えてるようです。私には出来ないことなので、感謝しかありません。
本記事を読んで、認知症の父親の介護を記録したノンフィクション「おやじはニーチェ/高橋秀実」を思い出しました。
認知症が進んできた父親から、著者のことを色々な人に思われていた場面がありました。
父親と著者のとぼけた会話が面白いですが、あとがきによると最初は苛立ちが多く大変だった時、インタビューのつもりで会話して記録してみたら、と著者の妻からのアドバイスで心境に変化があったとのこと。(著者は元々ルポライターなので)
身内と思うと苛立つことも、他人と思えば楽になるのは私も実感しています。
本作では哲学が引用されていて、難しい面もありますが、哲学が介護の大変さを和らげてくれたような気がします。
ご興味あればお勧めです。
みーしえるさま
ご無沙汰しております。
おやじはニーチェ、読んではいないのですが気にはなってました。奥さまのアドバイスすばらしいですね。認知症の本以外を読んでいますが、読むかもしれないリストに入れておきますね。