認知症介護の1日の始まりに安らぎが生まれた話

A woman with a relaxed expression under the blue sky

認知症の母はとうとう要介護4になってしまいましたが、それでも介護保険サービスとIoT機器を使いまくって、何とか在宅で介護を続けています。基本的に母にお願いする、あるいは貼り紙等で注意喚起しても伝わらない前提で生活できる環境を整える必要があります。

2023年から冷蔵庫やテレビリモコン、台所のふきんなどに工夫や制限をして対策した話をブログで書いてきました。1回起きてしまったことは、何度も繰り返す可能性が高いのでやむを得ません。こうした対策から、朝食にも安らぎが生まれました。

母が作る朝食

母は夏が近づくにつれ、朝4時から起きて朝食を作ろうとします。今の母はフライパンを出したり油をひいたりしなくなったので、とりあえず冷蔵庫にあるもの、お菓子箱にあるものを出して並べると朝食の完成です。

ベビーガードで野菜室と冷凍室はロックしてあり、主要な食料はそこで保管してます。以前なら野菜室の野菜を常温にし、冷凍食品も溶かしてしまう日もありましたが、対策したので今はありません。ちょっと前にもアップした母の用意した食事を再掲します。

昔は見守りカメラで常温の食材を見つけたら2階からダッシュして冷蔵庫に戻し、自分の部屋に戻ったらまた母が常温に戻すなど、親子の攻防の日々でした。また食器用洗剤のスポンジで台所全体を泡まみれにしていましたが、それもなくなりました。

とはいえやっぱり朝食を作る習慣は、重度の認知症になっても消えません。野菜室と冷凍庫はロックしてありますが冷蔵庫は使えるので、冷蔵庫にある卵を出し、ポカリスエットを並べて母の朝食は完成します。

制限はするけど全部は奪わない

最近は朝食もわたしが作る日が増えましたが、もし母が後ろに立ってわたしがやると言った日は、母に朝食を作ってもらうようにしています。

でももやしを大して炒めずに生でOKというし、見ていないと味付けをしないし、目玉焼きを焦がすしなので、実質自分が作っているようなものですが。

前は朝食前からの大騒ぎでイライラした日もありましたが、今はだいぶ対策が進んだおかげで朝食の時間が平和になりました。余裕もできたので、母の寝室回りのシーツ交換や布団干しの時間もできました。

認知症が重度まで進んでも、母親として息子に朝食を作らないといけない思いは全く消えないのですね。特に料理好きでしたし、この思いが残り続ける前提で介護していけば、わたしや母の朝は穏やかになります。そうするといい感じの1日のスタートが切れます。

音声配信voicyの最新回は、わが家の下系の対策の歴史の話です↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか