遠距離介護から1か月離れることは「やさしさ」の充電期間でもある

1年に1回の1か月休みが終わり、来週から東京・岩手間の往復の日々が始まります。東京は湿度が高く、ジトッとしたイヤな天気なので、岩手のカラッとしたあの感じはありがたいです。

今回の充電期間の目標

  • 余計な心配をしない
  • 必要以上に連絡はとらない
  • きっちり割り切る

これを意識して、1か月過ごしてみました。独居で認知症の母ですが、数年かけて訪問介護、訪問看護、デイサービス、訪問リハビリと、試行錯誤しながら態勢づくりをしてきました。カタチになっているので、決してムリな目標ではありません。

また、看護師さんやヘルパーさんでも目の届かないところについては、妹にカバーしてもらいました。冷蔵庫の中の腐った野菜を捨てたり、日用品系(トイレットペーパー、ティッシュ、洗剤など)の在庫チェック、お金の管理などです。

充電期間の最初の頃は、監視カメラ「スマカメ」で母の様子を探っていましたが、徐々にみなくても大丈夫になりました。電話で様子を探ろうかとも思いましたが、何か緊急事態の場合は皆さんから電話が来るので、それもしませんでした。

わたしから電話をしなくても、母からは電話がかかってきます。

わたしがデイさぼったって、今、電話がかかってきたわよ!
なに?今、何の用で電話してきたの?

自称「昼寝をしない」母が、寝起き直後にだいたいこういう反応になります。夢と現実の区別がつかなくなって、作話をしてしまうのですが、慣れてくるとこれもまたいつもどおりの母。作話の内容も先月とそんなに差がないので、意味不明な電話でもホッとしました。

16時に電話が来ることもあれば、22時のときもありました。母はわたしが未だサラリーマン勤めをしていると信じている割には、業務時間中に平気で電話してきます(笑)サラリーマン時代のときのほうが業務時間内の電話の回数は多く、あの頃は都度ドキッとしました。

自分がもし、病気やケガで帰省できなくなっても、態勢はきちんとできているし、生活はできるというテスト期間でもあるので、一応合格です。一番心配なのは「料理」。レパートリーが今以上に減っている可能性もありますが、帰ったらチェックしようと思います。

「優しさ」の充電期間

日々同じことを何回も繰り返したり、作話と対峙する時間を過ごしていると、少しずつストレスというか自分の「やさしさ」の量が減っていきます。

しかし、こうやって1か月も距離を置くと、そういったストレスもリセットされます。そして、自分の「やさしさ」も充電され、何度同じことを言われても、意味不明な作話もきちんと対応できます。

くどひろ
あ、そうなんだ~、ふーん

「やさしさ」に量なんてあるのか?と思いますが、わたしの脳内イメージはスマホを充電するかのように、電気自動車に急速充電するかのように回復します。休息充電とも言えますけどね、特にうまくもなんともないですけど・・・

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか