亡くなって9か月後に香典頂くも、認知症と遠距離が壁となる

お盆真っ只中の今週、祖母の初盆にも関わらず東京におります。

月2回は実家へ帰省していますが、お盆や正月というのは帰省ラッシュで混みます。交通費も繁忙期で高いので、おばあさんには申し訳ないんですが、ここはいつも避けるようにしています。遠距離介護の交通費節約術です。

とはいえ、7月下旬にお墓の草むしり、お墓と仏壇のお掃除は終わらせてきたのですが、この時期ならではの出来事がありました。

わたしは全く知らない遠い親戚より、香典を頂いた

文章にすると1行なのですが、母は認知症であり、わたしは遠距離介護。我が家の場合は、”認知症を利用して” このように香典返しを手配します。

1.香典はわたしの部屋に隠し、母にはなかったことにする
2.香典に書かれた住所、金額を、妹から教えてもらう
3.ネット上で都内から地元百貨店に香典返しを手配(母の名前で)

母にとってのストレスは、目の前に香典袋があることです。毎日毎日、香典袋を見ては、

「このお返し、どうしよう~」

と考えるものの、外出が困難な母。お返しを購入に行けないストレスと、手配しないといけないということを香典袋を見るたびに思い出し、そして忘れる。また思い出すというのを、香典袋を隠すまで繰り返すのです。

香典を隠すのは母のストレスを回避するという意味ではいい方法なのですが、ひとつだけ困ったことが起きます。それがお礼の電話です。

「あら~、わざわざお返し頂いてすみませーん」

母が認知症でなかったら、不思議な電話だな?と思うはずです。ところが母は 「取り繕い」 がすごいんですね。話の辻褄があってなくても、その話を完結させようと努力します。だから、このような電話が来ても、

「(内心は混乱しながらも)いえいえ、こちらこそわざわざ香典頂いて~」

と対応します。遠い親戚と久々の会話(刺激)で、1週間くらいは気になるのですがその後は忘れます。すべてにおいてストレスを最も短くするために、香典を隠す方法を考えました。以前も、

別居中の夫の仕事の元同僚の奥さん

という、ほとんど関係ない人から香典頂いた時は、ずっとその事の名前を連呼して大変でした。ピック病の母にとって、非日常の出来事はよろしくないんですよね。(毎日のルーティーンを崩したくない)

本当は親戚中に「母が混乱するので、香典は大丈夫です」 と連絡したいんですが、遠い親戚とかご近所とか予想外のところから来るので、防ぎきれません。遠距離介護ならではですよね、こういうちょっとした苦労は。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

ありますねー。うちの場合はお中元とかお歳暮ですね。
母がダメなときは相手の名前みて「誰だか思い出せない」ってなって落ち込みます。それでもらったことも忘れるので着たらすぐにお返しを手配します。
お礼の電話が来るかドウかはあちらまかせですが・・・。

syumitektさま

いつもコメントありがとうございます!

今回の記事は同じような人はいないだろうなーと思ってましたが、あるんですね!
びっくりです!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか