熊谷まどか監督の新作「話す犬を、放す」(3月11日公開)を、東京・有楽町スバル座で見てきました。明日から盛岡だし、もうすぐ有楽町での公開も終わるのでダッシュで行って帰ってきました。
レビー小体型認知症の監督のお母さまの幻視体験がベースになった作品で、売れない女優レイコ(つみきみほ)と母ユキエ(田島令子)、そして死んだ犬のチロが幻視となって現れます。
わたしは、認知症の映画はほぼ見ません。暗い、つらい、泣く系の認知症介護の話は、民放のテレビ番組ですら見ません。ですが、現在連載中である「知ってトクするしれっと認知症介護」で、大変お世話になっている古荘記者の下記インタビュー記事を読んで行く気になりました。
そういう幻視が見えるタイプの認知症は聞いたことがありました。本人は怖がっているんだけど私は「面白い!」と思っちゃったんですね。映画製作は目に見えないものを創り出す仕事なので、あまり驚かず、むしろ映画のネタになると思ってしまって。
この発想、全く同じ!!
わたしも、認知症の母の症状はすべてブログやコラムのネタになる!と思いながら介護しています。発信の仕方が、映画なのかブログなのか・・・その違いだけだと思いました。とはいえ映画制作は横浜・中華街のふかひれラーメン、対してわたしのブログは袋タイプのチキンラーメン・・・制作の手間は大きく違います。
冒頭の予告で、これから有楽町スバル座で公開される認知症を題材とする映画が泣ける感じでした。わたしはそういうのが苦手なので見ませんが、ご興味ある方は予告から見てください。
レビー小体型認知症の映画を、ピック病の母を介護するわたしが見ると
認知症のことをコラムで書くとき、「あえて」アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症と書きません。それは、読み手に自由に考えて欲しいからです。おそらくレビーと書くと、「うちは関係ない」と他人事になってしまい、読まない方もいると思っています。今回のブログタイトルにも、わざと書きませんでした。
そうやって型にはめて認知症を見てしまいがちなのですが、レビー・ピック複合型のようなタイプも存在します。母もアルツハイマー型、ピック病どっち?という時期もありました。また、医師による誤診も多いので、介護者はひととおりすべての型を勉強したほうがいいと思います。型が変化することもありますし。
型が違っていても、認知症介護者として重なる部分はたくさんありました。ネタバレになるので、あまり書けませんが例えば、
・何度も何度も母ユキエから電話が来て、芝居の稽古を邪魔するシーン
→ 会社員時代、母から何度も電話が来て会社の廊下でコソコソ話していた
・レイコが母への心配から身が入らず、セリフが飛んで相手役に激怒されるシーン
→ レイコ自身が認知症を自分で体感し、相手役は認知症の人を怒鳴る家族を想像した
レビーの代表的な症状に「幻視」があります。これもわたしが見ると「妄想」に変換されてしまいます。うちの母は幻視は見えませんが、お隣の旦那さんが死んだと言ったり、家出中の父親が26年ぶりに帰ってきたと言われてびっくりするのは、見える見えないの違いこそありますが、事実ではないという点で共通しています。(認知症ご本人にとっては事実です)
だから、認知症の型は違えど、すべて自分のことに置き換えることができました。医者があっさり認知症を告知してびっくりしたのですが、あのお医者さんの幻視とのつきあい方のアドバイス、好きですね。
全く認知症のことを知らない人は、レビー小体型の基礎について勉強になると思います。映画について、こんなツイートがされています。
【『話す犬を、放す』公開劇場】
3/11(土)〜
◇有楽町スバル座
◇MOVIX川口に
◇新所沢レッツシネパーク
3/25(土)〜
◇テアトル梅田
4/15(土)〜
◇シネマ5(大分)
◇シネマテークたかさき
4/22(土)〜
◇名古屋シネマテーク pic.twitter.com/KhqZ3OdlyS— 絶賛公開中!『話す犬を、放す』 (@hanasuinu_movie) 2017年3月12日
「話す犬を、放す」、面白いですよ。この映画を見て認知症のイメージが変わりました。そっか自分もいつか認知症になったりするんだな、てゆーか実はもう始まってる気がする(笑)みたいな。それも含めて人生だよなと、日々感じる肉体と精神力の衰えに対して肯定的になれた気がします。
— 小林でび (@devikoba) 2017年3月16日
『話す犬を、放す』主演のつみきみほさんのインタビューが掲載されています! https://t.co/0RTB6D5iwm
— オフィス・シロウズ (@OfficeShirous) 2017年3月17日
監督ご自身の実体験を基にし1つ1つのエピソードがリアル。幻視を母娘で面白がる姿や主治医の助言は理想的。深まっていく親子のつながりやひたむきだけど上手くいかない女性たちにも共感。清々しくあたたかく元気をもらえる映画です『話す犬を、放す』https://t.co/zfZxK8xJWF
— 樋口直美 (@HiguchiNaomi) 2017年3月14日
昨日やっと観に行かれました。レビーあるあるが、あちこちに。個人的にうっ‼とくる場面もあり……思い出す事と重なりました。 監督ともお話しでき嬉しかったです。母と娘の長いファミリーヒストリー、それぞれにありますよねぇ、良くも悪くも…… pic.twitter.com/xD0bwqR9sB
— いずみ野カフェ「デ・アイ」 (@ameya_izu) 2017年3月18日
「話す犬を、放す」観てきました!クスクス笑ってホロリと泣いて、温かくて優しい映画です。認知症の話でもあり母と娘の話でもあるけど、一生懸命生きてる全ての人へのお話でした。来週の母の誕生日、娘にカードでも書かせようと思ってたけど、私も久しぶりにちゃんと手紙書こうかなと思いました。
— mizumi nakanishi (@mizumicchi) 2017年3月18日
わたしはあらゆる事象を、ブログやコラムに変換するスイッチが入ったまま生活しているのですが、きっと熊谷監督も作品を作っているときは同じような感じだったのかなと思います。監督のご両親が関西にいて、呼び寄せるかどうか考えているというあたりも(わたしは呼び寄せない派ですが)遠距離介護するわたしと環境が似ています。
NO MORE 映画泥棒のパントマイムくらいキレッキレの感想を書くつもりが、シナッシナの時間が経ったポップコーンみたいな感想になってしまいました。そういえば、有楽町スバル座の音声案内が渋かったー
「みなさま、ごゆるりとお楽しみください」
久々に聞く「ごゆるり」・・・スバル座は3月24日(金)までの上映らしく、「ごゆるり」できませんね。
今日もしれっと、しれっと。
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