認知症の母の危険な外出対策のために買った補助錠が一瞬で終わった話

認知症介護でひとり歩き(徘徊)の対策のため、玄関のメインの鍵のほかに補助錠を取り付ける方もいます。

認知症の人を家に閉じ込めてはいけないという意見も分かるのですが、現実問題として毎日ひとり歩きと格闘している介護家族であれば、命を守るためにこうした選択肢もやむを得ないと思っています。

玄関だけでなく、居間や寝室のサッシから外へ出る可能性もあるわけで、そういう場合にも補助錠は活躍します。補助錠のまとめは、わたしの本『親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)に書きました。

母は介助なしで外は歩けないので、ひとり歩きの心配はありません。しかしそれでも補助錠が必要な場面があり、早速購入して試してみました。

わが家の補助錠の使い道

母は洗濯物が乾いていないのに取り込んで畳み、生乾き臭をタンスの中から発生させる習慣があります。今となっては口頭で言ってもダメなので、基本は母の見えない場所で洗濯物を干すようにしています。

この前、ゾッとする出来事がありました。居間のサッシを出ると、庭に大きなウッドデッキがあります。ただこのウッドデッキが本当に危険で、経年劣化で木が腐っているのです。

歩くと穴が開き、気を付けているわたしでもすでに6回も転落しています。もし母がこのウッドデッキで転落したら、自分の力では抜けられません。炎天下で落下して身動きが取れずに、そのまま熱中症で亡くなる可能性もあります。

ボロボロのウッドデッキ(この写真はまだいいほう)

ゾッとした日は、母の失禁がありました。ふとんを干すのは母がデイに行く日にしていますが、濡れた布団を一晩おいておくわけにはいかないので、ウッドデッキで干していたら、風で布団干しが倒れてしまったのです。

わたしが買い物から帰ってきたら、ウッドデッキにあった布団がありません!母がウッドデッキを歩いて、重い布団を取り込んでいたのです。手足が不自由なのに、変なところで火事場の馬鹿力を発揮する母。気になったら止められない他の例はこちら。

口頭で注意してもムダですが、真剣に伝えたら1%くらいは記憶に残るかもと思い、ウッドデッキは危険だから出ちゃダメ!と言いました。とはいえ忘れてしまうので、物理的に解決しないといけません。

サッシ引き戸用の補助錠を購入

居間のサッシは断熱性を高めるために、数年前に二重窓に替えました。なのでサッシの鍵のところにロックがあり、そこをロックしておけば母は外には出られません。

しかし別の部屋のサッシは昭和40年代のものでロックがなく、簡単に開けて外に出られます。母はこちらから外に出たようです。そこでAmazonで調べて、補助錠を購入しました。補助錠の条件として鍵がないほうが管理がラクだと思って、ものすごくシンプルなタイプを選択。

商品名はワンタッチ・シマリ。1個500円以下で、両面テープで貼りつけます。サッシ同士の隙間を考えて取り付けないと、サッシが閉まらなくなるので注意が必要です。

古いサッシに取り付けてみたワンタッチ・シマリ

本当はサッシの上下に取り付けたかったのですが、厚みでサッシが閉まらなくなるので、やむを得ず鍵の真横に取り付けました。赤い押すのマークを押すとロックがかかり、ロック解除は飛び出たところを押すだけの簡単な作りです。

場所が悪いので母に簡単に突破される可能性はありますが、しばらく様子を見ることにしました。取り付けから3時間後、わたしはロックの存在をすっかり忘れて、サッシを開けて洗濯物を取り込もうとしました。

すると「ガン」と言って、サッシは開きません。おー、ロックの役割を果たしていると思って、ロックを解除しようとしたら戻りません。どうやら強い衝撃で、一発で曲がってしまったようです。

取り付けからわずか3時間で撤去することになり、母の反応も分からないまま終わってしまいました。新しい補助錠の候補は見つけてあるので、今度はそちらでテストします。

まさかウッドデッキ対策のために、補助錠が必要になるとは!これがうまくいくと外で洗濯物を干せるようになるので、そういう意味でも活用しようと思っています。

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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

こんにちは、いつも楽しく読ませていただいてます。『一瞬で終わった』を見て(お母様が壊したんだろう)と思いましたが、まさかのくどひろさんによる破壊とは‼️思わず笑っちゃいました。
我が家も義母の危険回避はもちろん、生乾き洗濯物取り込み案件、郵便物&新聞行方不明案件その他により補助錠は欠かせません。開かないドアにお母様は怒ったりドアを叩いたりされませんか?義母ははじめのうちは開かない事に苛立ってましたが、最近はすぐに諦めるようになりました。これが良いことなのかどうかわかりません。『すぐに諦める』のは認知症の進行かとも…。いずれにせよ閉じ込めたくはないですが仕方有りません。
くどひろ家のその後のご様子もまた伺いたいです。

かみゅさま

はい、わたしが破壊してしまいました。

開かないドア(うちの場合は主に冷蔵庫)に関しては、数回で諦めます。怒らないのですが、1日に何度も繰り返すのでベビーガードの耐久性との戦いになっています。こういうことはしたくないのですが介護者として穏やかに過ごしたり、母の安全を確保したりと考えるとやむを得ません。

類似品ですが・・あの有名な警備メーカーAL○〇Kの商品なら堅牢ですよ。3Mの窓にも一つで対応できます。ガラスに取り付けます。

4年経ったのにほとんど変わりない。(1カ所だけ浴室の窓は直射日光も当たり、夜蒸気がこもってしまうので2年で取れました。)

一度付けたら簡単に場所を移すことはできないので(一度剝がすと使えなくなります)、場所は熟慮して決めなくてはいけません。防犯を考えるなら肩が入らない狭さ、お母様のためだけなら体が通らない幅、です。(体が通らない幅だと空き巣対策には意味ない、半身を乗り出して錠を解除されてしまいます)

岩澤さま

あのメーカーでも、こうした商品を出しているのですね。
隙間が10㎜必要と書いてあったのでうちでは使えないのですが、もうひとつの候補にしているものがあのメーカーさんでもあったので、そちらを買うかAmazonで買うかを考えてみます。
ありがとうございます!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか