認知症の方が食事が済んでいるのに「ご飯、まだ?」と言い、介護者が「さっき食べたばっかりでしょ!」と言って、口論になる話は認知症の代表的な症状ですが、最近になって母も「ご飯、食べたっけ?」と言うようになりました。
軽度から中等度の認知症の方に見られると書いてある本もありますが、母は高度(重度)になってから、この症状が見られるようになりました。
認知症の「まだご飯食べてない」の対処法
認知症の本に書いてある対処法をご紹介すると、
- 「今ご飯準備しているから、待っててくださいね」と声掛けして、安心してもらう
- おにぎりなど、少量の食事をとりあえず提供する
食事したこと自体を忘れてしまったり、満腹中枢がうまく機能せずに満腹感が得られなかったりすることが原因なわけですが、こうした知識を持ったうえで、わが家の場合はどうだったかをご紹介します。
母の「ご飯食べてない」の会話
母が「ご飯食べてない」というときの会話は、だいたいこんな感じです。
「食事をよこさない気か!」とケンカになる例がありますが、わたしがケンカ腰で声掛けさえしなければ、口論にはなりませんでした。
「今、食事の準備中だからね」と言おうかとも思ったのですが、説明したら納得してくれるかもと思い、答えを伝えたところ「あら、そうなの?」で終わりました。また、食べ終わった食器が残っていたり、包装された袋や食べ残しがあった場合はそれを見せます。
実際に体験してみて感じた重要な点が、ひとつあります。それは母が長年、子どものためにご飯を準備してきた人だったことです。
「ご飯は待つものではなく、提供するもの」
これは、認知症が進行しても変わっていません。わたしが食事の準備をする機会が増えていますが、母の頭の中では自分が食事を提供していると思っています。
なので「まだご飯食べてない」というよりかは、「わたし、ご飯の準備忘れている?」と思っているようです。わたし食べてない=息子も食べてない と言う日があることからも、母親として果たすべき役割、その気持ちはしっかり残っています。
認知症がさらに進行したら、一般的な対処法が必要になるかもしれませんが、今のところは納得しているので、このままでいきます。
どんなときに「ご飯まだ」というのか?
わが家では、夕ご飯の前に母がお菓子を食べてしまって、食べる量が少ないときに起こります。あとは見た目の量で圧倒されたとき、例えばピザを取ると一瞬こんなに食べれないと思い、すぐお腹いっぱいと言います。
だけど、何分かするとまた食べられるので、いつも食べられる量まで食べてもらうと「ご飯食べてない」発言にはなりません。結構食べられるはずなのに見た目で諦めるので、そこは頑張ってもらってます。
もうひとつ、反射的な行動が増えつつあります。喉が渇けば、すぐ飲みたい。お腹が空いたら、すぐ食べたい。だからお薬も、お薬カレンダーにあるものを、さっき飲んだのにまた飲もうとします。反射的な食生活から間食が増え、夕食が減り、それでご飯まだにつながっているようです。
まだケンカにならないだけ介護負担は小さいと思っていますが、もうちょっと経つとわたしの正論が受け入れられなくなる日も来るかもしれません。
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